サボテン

□第1話
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よく晴れて雲一つない空

先程まで閉じていた瞼を

擦りながら通り慣れた道を進む。

眩しい光を取り入れながら

家にあるサボテンの水やりを忘れたのを思い出す。


窓際に置かれた小さなサボテンは

あの日から枯れることなく部屋の

インテリアの1つとして飾られている。

『はぁ...そろそろよね...』

懐かしい街並みを通りながら

そろそろ見えてくるで有ろう

建物を探す。

彼女が向かっているのはボーダーだ。

彼女は元々ボーダー隊員だったのだが

色々会って2年ほど休職していたのだ。

そして今回晴れて復帰する。

これは喜ばしいことで
何より懐かしい仲間達に会えるのを
心待ちにしていたのだ。

彼女は当時仲が良かった人達には
きちんと休職することを告げていた。

たった1人を覗いては...

そうあの時恋人だった彼にだけは
去る前日になっても
何も言うことが出来なかった。

正直言うと何を言ったらいいのか
分からなかったのだ。

私は彼を愛していたし、
彼も私を愛していた。

だが、個人の都合で居なくなるのに
待っていて欲しいだなんて

言えるはずが無かったのだ。

この2年間彼を思わなかった日は
正直無かったと言っていいほど

彼に会いたかった。

だけどそれは今すぐではなく

もう少し復帰して時間が経ってから
会いに行こうと思っていたんだ。

それが今、近住民が現れるなんて
誰が予想しただろうか。

そしてその時防衛任務をしていた
ボーダーに助けられると誰が予想しただろうか…。

そんでもってその相手が
今はまだ会いたくないと断言した
彼だってなんて
一体誰が予想出来たと言うのだろうか


「大丈夫ですか!??」

『はい、大丈夫です。
ありがとうございm...っ!』


「?...!!お前は...」









『東君.....』


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