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□幸せにならないで
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まいやんはずるいよな
こんな気持ちしたまま居なくなってしまうんやから



ななはずっとまいやんを思ってるのに







離れ離れになることなんか分かってた。
まいやんが目指してたのはテレビの中の人
でも、ななは普通の人やった。
普通に大学いって就職してそれが夢やった。

まいやんは違ったよな。
誰がみても可愛くてかっこよくてななやってひと目見た時この人はななとは別の世界の人やって思った。
それでも、まいやんに惹かれて好きになって


本当は東京に行かれるのが嫌なのに頑張ってなんて言って
もしな、ななが泣いて行かんといてっていったら変わったんかな?



......もう会えんのに
まだ、まいやんのことを想ってる。


いまでも思い出せる。
まいやんと会ったのは強い雨の日やった








『うわぁ、めっちゃ雨降ってるやん』




ななはいつも電車通学で6時30分ちょうど発の電車に乗る。
今日もいつも通り乗ってた。


その日は大雨なんか知らんけど
人がいっぱいおってため息をつきながらつり革につかまった。
あと少しで学校周辺の駅やったのに


『‥‥ぁ‥‥』


お尻に生暖かい感覚
ほんまに最悪や

気持ち悪い、悪すぎる
朝から盛ってんじゃねーよ。

でも、あと一駅。
その時あの少しやから耐えようそう思ったのが悪かった。

その人はななか抵抗せんのをいいことに
少し触れいただけなのにどんどんヒートアップして
ついに揉んできた

触れてくるだけで終わると思ってたのに‥‥

どうすればええ?

気持ち悪さで吐き気がする
こんなとこで吐くわけにもいかんから
つり革に必死につかまっていると

急にななのお尻を触っていた感覚がなくなった。
終わったそう思っていたら

『この人痴漢です!!』

そう女性の声が聞こえた
ななと同じ状況の人がおるんやな
そう思っていたら

『大丈夫だった?』

そう声をかけられ

なにも答えられずにいると

『降りよ』

手を引かれる
状況が理解出来ず戸惑う。

『あ、あの、た、助けて、いただきありがとうございました』

『朝から嫌だよね。大丈夫だからね。』


そう言って頭を撫でられる

ついバッと顔を上げてしまう。

それに驚いたのか

『あ、ごめん。気持ち悪かった?』


『......いや、気持ちよかったの、で』

待ってなに言っとんのやろ
変って思われてないかな?

気持ちよかったってなんやねん
やばい。
今の発言ってヤバない?


『そ?ならよかった。』


ぽんぽんと優しく触って笑う彼女。


それと同時に発車する電車。


『あ、乗り遅れた.........ごめんね?』

『大丈夫です。ななのせいですいませでした。』


『いいよいいよ。気にしないで私がしたくてしたから』


その後は、一緒に学校に行った
いつもは登校に余裕があったけどその日は走らなあかんくらい危なかった。
けど楽しくて
まいやんが『やばい、間に合わないー』って叫んでたなって



その日からまいやんは雨の日はななと同じ電車に乗るようになった。
雨の日、憂鬱な気持ちをいつも嬉しくにしてくれた
目が合うと笑って


『七瀬おはよう』


そう言ってくれた







なぁ、まいやん?
今日も雨降ってるよ?

でも、電車にはまいやんはやっぱおらんで


なぁまいやん、いま誰を想ってる?
なな.........なわけないな。











「.........ちゃん、....なー.....ん...なーちゃん!」


「......どしたん?」


「どしたん?じゃないよ!」


そう高ぶっているかずみん

「まいやん、今度東京から戻ってくるらしいよ!」

「え?」

「知らなかったの?」


「知らなかったもなにも連絡手段ないやん?」


「LINE交換してなかったの?」



「なにも言われんやったから」


「あらら.........」




そっか......
帰ってくるんやな
ななのこと覚えてるかな?



まいやんの大人っぽい雰囲気とか
白く細い指とか肌とか柔らかい笑顔が好き。


まいやんは綺麗って言っても全然だよって言う。

けどね、ななはまいやんが1番綺麗やと思う。



だから、神様。どいやさん。

まいやんに伝えてください。




「まいやんは誰よりも綺麗だよ」



そう言ったら「ありがとう」って笑ってくれるかな?
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