気付かぬ想い

□第1話
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「夢莉ちゃん、ほら泣かないで、このお花あげる。私の大好きなお花なの、コスモスって言うんだよ。また明日も一緒に遊ぼうね!」

「ありがとう!うん、また明日ー」

ピピピッ、ピピピピ・・・

またこの夢を見ていた。麦藁帽子に白くて可愛いワンピースを着ている女の子。何度見ても顔はわからない。でも、この夢を見るとどこか懐かしくとても幸せな気持ちで目が覚めるのだ。

今日は入学式。幸せな気持ちでは起きれたが、今日から始まる新しい学校生活についていけるのかと不安になりやはりもう少しだけ寝ていたいという気持ちがふつふつと湧いてきた。まだふとんからは出たくない…

「ゆうりー、早く準備しないと遅刻するわよー」

「はーい…」

制服に着替えてから下に降りて、朝ごはんを食べていると7時を知らせる音楽がテレビから聞こえた。

急がないと愛梨ちゃんと待ち合わせをしている時間に遅刻してしまう。あと一口分残っていた食パンを口に詰め込み急いで洗面所で歯を磨いて外に出た。
「いってきまーす。」

高校からは電車に乗って行かなければならないのが憂鬱だ。
ガタンゴトン ガタンゴトン

しばらく乗っていると、さっきから私のスカートに誰かの手が当たっている感じがした。気のせいだと一度は思ったが、ガラス越しに写っているおじさんの顔を見て痴漢に自分はあっているのだと確信した。とても気持ちが悪い。だから満員電車に乗って通学するのは嫌だったのだ。
人が多くて声を上げることも、出来ない。
今にも泣き出しそうだ。あ、もう無理だ、スカートの中に手がはいって来る。そう思った瞬間。

「何してるんですか?そんなことしていて恥ずかしくないんですか?彼女も嫌がっているじゃないですか?」

私のスカートを触っていた手がなくなり、私の斜めうしろの方で声がした。

おじさん「いやっ、俺は何もしてないよ、、ただを手を下ろしていただけじゃないかっ。」

「じゃあ私が掴んだ彼女のスカートの近くにあった手はなんだったんですか?怒」

おじさん「いや、何もしてないって言ってるじゃないか、、なんなんだ君は、、」

さくら坂〜、さくら坂〜到着です♪

そうこうしている間に私が降りる駅に着き、そのおじさんは逃げるように電車から降りていった。

「大丈夫だった?」私は助けてくれた女の人に声をかけられた瞬間それまで張っていた気が一気に抜けたのか足が動かなくなってしまっていた。するとさっきの女の人が手を引いてくれて一緒に電車から降りた。

「ううっ、、」
涙が止まらなくなってしまい小さい子みたいに泣いていると彼女は私が泣き止むまで何も言わずに私の背中をずっとさすってくれた。
「こんなに泣いてしまってすみません…。ありがとうございました…」

「いえいえ、気付くの遅くなっちゃってほんとごめんね。同じ学校だよね?私は2年の山本彩、よろしくね。君は?」

「あっ、太田夢莉です。本当にありがとうございました。山本さん。」

「下の名前で呼んでもらっていいよ、学校まで一緒に行こうか?」

「ゆーりちゃーん、どーしたの?朝からなんかあった大丈夫?」
改札で待ち合わせしていたはずの愛梨ちゃんが向こう側から走ってきた。
「あっ、」

「お友達いるんだ、よかったよかった。じゃあまた学校でね〜」
そう言って彩さんは手をひらひらと振りながら言ってしまった。

「おはよう、愛梨ちゃん、、」
学校に着くまで愛梨ちゃんに電車であった事を話しながら行った。

なんなんだろうさっき感じたあの懐かしい感じは、、


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