気付かぬ想い

□第2話
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7時になりました。ニュースをお伝えします♪

あ、やばい間に合わない

「音遠、お母さん、行ってくるね〜」
「はーい、気をつけていってらっしゃい〜」

ああ、このままだといつもの電車に乗り遅れる…
いつもより遅い電車に乗ると人が増えるので嫌だったが新学期が始まるということもあってか走る元気もなく諦め、いつもより遅い電車に乗る事を決めてゆっくり歩く事にした。

ガタンゴトン  ガタンゴトン

いつもとは違って電車に乗った時間が遅いせいか人が多い。やっぱり、頑張って駅まで走っていつもの電車に乗ればよかったと後悔をしている時だった。私の視界におじさんが同じ制服を着た女の子のスカートに手を伸ばしているのが視界に入った。彼女は今にも泣きだしそうだ。

気付いた時には体が勝手に動いていた。

「何してるんですか?そんなことしていて恥ずかしくないんですか?彼女も嫌がっているじゃないですか?」
おじさん「いやっ、俺は何もしてないよ、、ただを手を下ろしていただけじゃないかっ。」

痴漢をしているのは明らかだったのに、わかりやすい嘘をついていることに余計に腹が立った。
「じゃあ私が掴んだ彼女のスカートの近くにあった手はなんだったんですか?怒」

おじさん「いや、何もしてないって言ってるじゃないか、、なんなんだ君は、、」

さくら坂〜、さくら坂〜到着です♪

おじさんが言葉を濁している間に降りる駅についていた。
苛立ちは収まらないがおじさんは逃げるように電車から降りていってしまったので仕方がない。
「大丈夫だった?」

私が声をかけると彼女は突然のことにパニックになってしまったのかその場から動けなくなっていたので、とりあえず手を引いて電車から降りることにした。すると、彼女は安心しきったのか泣き出してしまった。考えた末、とりあえず泣き止むまで背中をさすることにした。しばらくすると少しは落ち着いたのか彼女は泣き止んだ。


「こんなに泣いてしまってすみません…。ありがとうございました…」

同じ制服を着ているとはいえ名前もわからなかったので、とりあえず名前を聞くことにした。
「いえいえ、気付くの遅くなっちゃってほんとごめんね。同じ学校だよね?私は2年の山本彩、よろしくね。君は?」

すると、名前を教えてくれてまたお礼を言われた。夢莉ちゃんって言うんだ。自分がこんな目にあったのにも関わらず何度もお礼を言って来るなんて育ちがいいんだろうな。

「下の名前で呼んでもらっていいよ、学校まで一緒に行こうか?」

すると向こうの方から夢莉ちゃんのことを呼ぶ声が聞こえた。夢莉ちゃんは駅で友達と待ち合わせをしていたのだろう。私なんかと行くのより友達と一緒に学校に行くほうがいいだろうと思い私は夢莉ちゃんに声をかけてその場を去った。


改札を出るとそこにはあかりがいた。
あ「あ、おはようさや姉。珍しいなぁこんな時間に来るの。もうちょっとで恵ちゃん来るから一緒に行こ!」

けいっちが来るのを待ってから学校まで歩き始めた。
電車の中で起きた痴漢のことがなかなか許せず2人に話していると、
け「さや姉珍しいなぁ、普段は慎重に考えてなんで今日はそんなに行動的だったん?」
「うーん、なんでやろ。急に助けてあげなきゃって思ったんよなぁ、、」

思い返せば不思議なことだ。普段は慎重派の私がなぜ急に動いたのか。

あ「まぁ、いいんちゃう?結局その子は助かったんだし、友達と一緒に学校行ったんやろ?」
「うん、まあそやな。普通に考えて痴漢は見過ごしていいもんじゃないし、、」
その話をしていた時は彼女に対して言葉では表せない不思議な感情が浮かんでいた。だが、新学期ということもありクラス替えや今年入ってくる新入生の話をしていたらあっと言う間に学校に着きさっきまでの感情はどこかへ消えてしまっていた。


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