気付かぬ想い

□第8話
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「夢莉ちゃん、ちょっと忘れ物取りに教室寄るから昇降口で待っててもらえる?」
「わかりました!」
 
雨が降りそうな嫌な空、、彩さん遅いなぁ。何かあったのかな教室見に行ってみよう。なんか声がする。

「彩先輩、わたし彩先輩のことがずっと気になってて、、あの付き合ってもらえませんか?」
「え、、」

あ、これ聞いちゃいけないやつだ。昇降口に戻らないと。でもなんだろう、こんなに心がモヤモヤするのは、、

「夢莉ちゃん、長い間待たせちゃったよね。ごめんね。」
「いや、全然気にしないでください。雨降りそうなんで、早く帰りましょう。」
「そやな、雨降りそう。雨降るのやだもんなぁ。よし、駅までダッシュだ!よーいどん!」
「ちょっと、待ってください〜」

運動が苦手なわたしにとって学校の前の坂道を下って駅まで走るなんて拷問でしかない、、でも、走ったおかげでパラパラ降ってきた雨からなんとか逃げ切ることができた。

「はぁはぁ、夢莉ちゃんて足遅いなんて知らなかった、ごめんな。」
「なんか、ひどくないですか」
「ごめん、そんな意味じゃなかった。」
「ま、事実だからいいですけど」
「また今度走ろっか」
「もしかしていじってます?笑笑」
「そんなことないよー」

そんなことないよーなんて言いながらめちゃくちゃ顔は笑っている。なんだか子どもっぽいなぁ。電車に乗っている間に雨はやむと思っていたが最寄りについても雨は降っている。

「まだ雨止みませんね。傘持ってますか?」
「ううん、、」
「あ、待っててください。あそこのコンビニで買ってきます。」
「え、ちょ、ちょっと、、」

コンビニを出ると駅の前で少しチャラい大学生に絡まれている彩さんを見て思わずコンビニから駅まで全力ダッシュした。

「何やってるんですか?わたしの大事な人なんでやめてください。」

わたしが駆け寄ると大学生の人たちは去っていった。怖かったのかわたしの制服のブレザーの裾を掴んでいる。

「怖かったですよね、遅くなっちゃってすみません。」
「べ、べつに、、、」
「強がらないでください。」

手が震えている。思わず、抱きしめてしまった。しばらくすると我に帰った。

「あ、突然すみません、、。」
「ううん、夢莉ちゃんありがとう。じゃあ、家向こうだから。」
「あの、家まで送ります。いや、送らせてください。」
「大丈夫、、」
「あんなことがあったし、今日は送らせてください。」
「じゃあ、お言葉に甘えて、、」

その後は彩さんがさっきの出来事を忘れられるようにいろんな話をすると笑ってくれて安心した。

「ここ、うちだから。今日は送ってくれてありがとう。また、明日ね」
「いえいえ、また明日。さようなら」

さっきまで2人で話していた道を一人で帰るのは寂しい。


今日は彩さんとの出来事がたくさんあったなぁ、、今日あったことを全て2人だけの秘密にしたいと思った。たぶん、わたしは彩さんのことが好きなんだ。


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