短編

□朝
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カーテンの隙間から差し込む朝日を眩しく感じて目が覚める。目を開けて横を向くとそこにはさやかちゃんの顔があった。今週は大事な会議があったみたいで私よりも遅く寝て早く起き仕事をしていたからさやかちゃんの寝顔を見るのは久しぶりだ。昨日、ご飯を食べた時までは元気だったけど大事な会議が無事終わって安心したのか私がお風呂から出るとスイッチが切れたようにベットで寝ていたのだ。

「さやかちゃん、、朝だよ」
「ん、、、」

どうやらまだお疲れみたい。さやかちゃんをもう一度起こそうかとも思ったけど、まだ起きる気配もないし何よりあまりにも気持ち良さそうに寝ている顔をみてこのまま寝かしてあげることにした。寝ている間にめくれてしまったお布団をさやかちゃんに掛け直して寝室からキッチンへ向かう。今週、さやかちゃんは朝ごはんを食べてなかったからちゃんとした朝ごはんを作ってあげたいと思って冷蔵庫を開ける。けれど、今日お買い物に行けばいいからいっかと思って昨日は夜ご飯の材料しか買って帰らなかったから冷蔵庫は空っぽだった。

寝室に行ってさやかちゃんの様子を見たけどぐっすり寝ていて、まだ起きそうもなかったから服を着替えて朝ごはんの材料を近くのコンビニまで買いに行くことにした。朝ごはんはさやかちゃんの好きなホットサンドとサラダにしよう。お会計の時に携帯を見たけどさやかちゃんからは連絡が来てなかったからまだ起きてないみたい。

ガチャ

家のドアを開けると電気はついてないけれど、リビングの方から鼻をすするっている音がする。さやかちゃんに何かあったのかなと思い慌ててリビングへ向かう。そこにはソファーの上に体育座りをして顔を伏せて泣いているさやかちゃんの姿があった。さやかちゃんの背中をさすりながら隣に座る。

「さやかちゃん、何かあった?」
「だって、、ゆうりぃが、、」
「さやかちゃん落ち着いて、どーしたの?」

さやかちゃんはなかなか泣き止まない。何があったのかこっちまで不安になってくる。

「さやかちゃん、おいで」

声をかけると泣きながらも私と向かい合う形で膝に座ってぺったりとくっつく。落ち着くまで背中をさすってると落ち着いたのかさやかちゃんが口を開いた。どうやら朝起きて私がどこにもいないからいなくなったと思ったらしい。なんて可愛い理由で泣いてるんだろうと思ってしまう。

「ごめんね、朝ご飯の材料買いに行ってたんだ、、」
「なんで起こしてくれなかったん?」
「あまりにも気持ちよさそうに寝てたから、、」
「朝長く寝れないよりも夢莉が起きた時いない方が嫌だ、、」
「そうだよね、、次からは起こすね、、」
「うん、約束やで。私を置いてどこにもいかんでな、、」
「「ゆびきり、げんまん〜」」

ゆびきりをすると満足したみたいで、、

「そんなことより、どんな朝ご飯作ってくれんの?」
「さやかちゃん最近朝ご飯食べれてなかったから今日はホットサンド作ろうと思ってるんだけど、、」
「え、ほんまに!やったー!」

よっぽど嬉しいかったのかキラキラした目で見つめられる。

「これから作るから、洋服着替えておいで」
「うん!」

キッチンに立ってパンに焼いた卵を乗っけていると背後からさやかちゃんが抱きついてきた。

「お部屋までいい匂いしてた〜」
「本当に?もうできるから座ってて」
「はーい」

「「いただきます」」
「ゆうりが作ったホットサンド美味しい〜」

目を細めて幸せそうな顔をされたら何だかとっても嬉しい気持ちになる。さやかちゃんは10分もしないうちに全部食べ終えて満足そうな顔をしている。

「さやかちゃん、洗い物するからソファーでゆっくりしてて」
「早く、きてね。」

そう言うとさやかちゃんはソファーに向かった。しばらくの間視線を感じていたけど、早く洗い物を済ませたくってさやかちゃんの視線に気づかないふりをしながら洗い物を終わらせる。ソファーに座ると有無を言わずさやかちゃんは私の上に乗ってきてぎゅーと抱きしめられる。

「さやかちゃん?」
「ゆうりのこと待ってた」
「ありがとう」

今週はずっと忙しそうで2人でこうやってのんびりするのも久しぶりだ。さやかちゃんも大事な会議が終わったからかいつもに増して甘えん坊な気がする。さやかちゃんは顔を上げて私を見るなり嬉しそうにふふっと笑ってゆっくり目を閉じた。朝から泣いたし、まだ寝不足だったんだろう。

「ちょっと、お昼寝してもいい?」
「うん。おやすみ、さやかちゃん」
「どこにも行かんといてな」
「うん。」

さやかちゃんは私の洋服をぎゅっと握ったまま眠りについた。どこにも行かないよさやかちゃん。



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