短編
□おやすみなさいの真相
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※ゾンビネタ
※設定がめちゃくちゃ
熱い。そりゃあもう今までオーブンにでも入ってたのかっちゅーくらい熱い。
問題はそんな熱量を名無しが持っちまってるって事で、辛そうな表情は目も当てられねぇ。
「名無し……」
虚ろな目はそれでもオラを捉えていて、名前を呼べば微かな声で反応があった。
"悟空"とこの声でこれから先呼ばれなくなると思うと、酷く 胸が痛ぇ。
「名無し、……オラ、………ッオラ……」
「悟空……、分かってる……」
名無しは、オラと違って自分の運命を受け入れているようだ。
有り得ねぇくらい真っ白になっちまってる肌…名無しの首筋には忌々しい、"ソレ"の噛み跡……
名無しがアイツらになんのも、時間の問題だ。
一度、こんな事態になり初めの時に神龍に頼んでみたりもしたんだ。
だけど、返ってきた答えは期待してたモンとは違っていた。
発生源も分からなければ、ウイルスと言えど死んだ者が生き返るという超越した力。
不思議な事に、神龍でもどうにも出来なかったらしい。
噛まれて死んじまう奴や、それを阻止する為に自殺する奴、殺される奴、これが関係しちまってる事は軒並みドラゴンボールでもどうする事もできねぇと……
今の今まで仲間達は無事だったんだ。
何となく、別に大丈夫なんじゃねぇかと何の根拠も無く楽観的に考えちまってた。
その結果が、コレだ。
ブルマ達や他の皆、名無しがこうなっちまった事は知っているがオラが二人にしてくれと頼んだら何も言わずに聞いてくれた。
ただ去り際にベジータに言われた言葉が、耳から離れねぇ。
「貴様がちゃんと終わらせてやれ」
あまりにも残酷な現実だが、その言葉は受け入れなきゃいけねぇモンでベジータが言ってた事は正しい。
「ち、くしょう………………出来ねぇよ……」
歯を食いしばっても、血が滲み出る程拳を握っても、変わることのない結末を恨んだ。
今まで何の迷いも無く自分の人生を歩んできた自分の初めての苦悩がコレだ。
あんまりじゃねぇかよ………なぁ……
「悟空、……大丈夫…出来ないなら、私が自分で……」
「……ッ、」
「……ブルマさんから、貰ったの、万一の時の為に……」
取り出されたのは、拳銃だ。
オラに効かねぇソレでも、名無しにとってはやべぇって事くらい分かる。
「やめろ、名無し……でぇじょうぶ、だ……オラ、出来っから……」
「……」
「オラが、終わらせなくちゃなんねぇ…………ちゃんと、やっから……だから、……もうちっとだけ、待ってくれ……頼む…………」
「……ごめんね、…背負わせちゃって……」
そっと頬に添えられた名無しの小さな手。
やっぱし、相変わらず、あっちぃ。
いずれ無くなっちまう温もりに寂しさが込み上げて せめて最後にとキスをしようとしたら、唇に触れる前に名無しに止められた。
うつっちまうかもしれねぇから怖いって。
あぁ、もうキスすらもする事が出来ねぇのかと、どうしようもなく辛い気持ちになる。
「………なぁ、抱き締めてもいいか?」
「ん、……大丈夫」
「……ありがとな…………なぁ、名無し」
「…なに?」
「……オラ、おめぇが居なくなっちまうの、辛ぇ…」
「………私もだよ」
抱き締めながら交わす会話は、切ない色でいっぱいだ。
それでも、名無しとの最後の思い出だ。
伝えてぇ事、伝えねぇと。
「名無し…………
……愛してっぞ」
気を溜めて、指先で弾を作る。
"私も"と笑って名無しはコクリと頷いた。
ソレを合図に、オラは世界で一番大好きな人の額に弾を打ち込んだ。
「ッッ………………名無しッー…………」
もう動く事がない名無しを力一杯抱き締めた。
涙がとめどなく溢れ出てきても、何度名前を呼んでも、世界が変わってくれる事なんて無かった。
おやすみなさいの真相
(涙の止め方が分からねぇ)