人生は航海の連続である!

□13.そして始まり
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その夜、私は目が冴えて、眠れないでいた。

ちょっと外出てこよう。
縁側に行くとクラピカがいた。
月に照らされてほのかに光っている。

「クレアスか」

「何してたの?」

「少し、考え事をしていた」

私は寝る時はコンタクトを外す。私の裸眼には月明かりくらいがちょうどいい。

「本当に綺麗な眼だな」

「やだぁ、照れる〜」

「私も少し変わった眼を持っている」

クラピカはクレタ族という民族の人で、怒ったり、興奮したりすると、眼の色が赤色になるらしい。

「じゃあ、お金目当てで狙われる?」

「……ああ」

少し、クラピカの眼の色が変わった気がした。

「クレタ族はある組織に1人残らず殺された。私のいない間に」


だから、クラピカは一族の敵討ちをするために、動くらしい。


「幻影旅団、知っているか?」

くも? 聞いたことはある。でも情報は何も知らない。

「私は一刻も早く、仲間の眼を取り戻し、仇に復讐をせねばならない」


強い、意思があるんだね。
でも、危ういよ。
危険に迷わず飛び込んでいってしまいそう。



「私も手伝いたい。敵討ち」

あれ? なんでそう思ったのかな。なんか、そうしなくちゃダメな気がした。

「すまないが……それは出来ない」

「どうしても?」

クラピカは少し間をあけてから、きっぱりと言う。

「これは私がすべきことだ。誰かに手伝ってもらうものではない」

頑なだな。

「お願い! なにもじゃましないから」

私はそれでも食い下がる。なんでこんなについて行きたがってるんだろう?

「なぜだ? なぜ、そこまでついて来たがる?」

「なんでだろ。親近感? または恋愛感情とか?笑」

自分でも分からない。でも……

「私の家族の眼も高値で取引されるらしくて。出来れば私が持っていたい。取り戻したい。クラピカのこと、とても他人事だと思えないよ」

そう言うと、クラピカの眼が少し優しくなった。


「ヨークシンに幻影旅団が来るらしい。命の危険があるかもしれない」

それなら尚更1人じゃ行かせられないよ。



「それでも構わないのなら一緒に来るか?」

「行く!」
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