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□昌平君×物理教師
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「せんせー」
ここは私立女子高等学校
生徒は女子だけ。
「なんだ」
「ここわかんないのー」
物理教師の俺は準備室で明日の授業準備をしていたところ、3年A組のグループに捕まった
…いや、捕まったという表現は良くないが。
週に三日ほどこの準備室に訪れては質問してくるこのグループ4人。中でも一際目立ち整った容姿をしている一人の女がこのグループの長であると思われる。
この子が俺を毎度困らせるような質問をしては、周りの子たちがクスクスと笑う。
「お前ら、物理の授業に熱心なのはいいが、俺をからかいに来るなよ」
「だってせんせーイケメンじゃん!」
グループの長である名無しさんは長い髪を片耳にかけ、物理の教科書を広げた
「まあそれは否定しないがな。」
「え、先生やかましくね?」
名無しさんが開いた教科書を中心に周りの子が集まる
俺は教科書を覗いて掃除されたばかりの綺麗な黒板に短いチョークで解説していく
「おお〜さすがせんせー、わかりやすい!」
「とまあ、こんな感じだ。」
聞かれた箇所を説明している間に、外は夕焼けで紅くなり、窓から差し込む光が眩しい
「んじゃっ、ありがとねせんせー!」
名無しさんは閉じた教科書を乱雑にスクールバッグへ詰め込むと、ハイソックスを絶妙な位置まで上げて歩き出した
「名無しさん」
「…なに?先生」
長い髪を靡かせてゆっくりと振り返る名無しさんは夕日に照らされ肌がオレンジかかっていた
「てかせんせー、なんで名無しさんのこと呼び捨て?」
スクールバッグを肩にかけ直す傍らの子らはクスクスと笑っている
「お前はちょっと、ここに残れ」
「えー!なに、お説教??
…無理なんだけどー。」
ごめん、先行ってて!と名無しさんは手を合わせて軽く頭を下げた
「ねー、先生なに______________」
言い終わる前に俺は名無しさんの細い手首を掴み、もう片方の手で顎を持ち上げた
「…なにそれ、先生がそんなことしていいの?」
「お前次第だ。」
一瞬驚いた様子だった名無しさんは俺の目を見て下から睨みつけてくる
「いつかばれるぞ、お前が俺を好いていることが。」
「はっ!!?誰が!!」
俺を睨みつけていた名無しさんだったが明らかに動揺した様子で俺に盾突く
俺が掴んでいた手を離すと、名無しさんは自分のスクールバッグを手に取り、足早に教室を出ていった。