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□王賁×内科医
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今日は朝からどうも調子が悪い
…正確に言えば昨日の帰宅前から。


上司には昨日のうちに体調を伝えて、今日の朝も休みの連絡はしたけれど…


私、名無しさんはそのへんで働くOL4年目。
体調管理には気をつけてはいるものの、26は四捨五入して30…
気がつけばおばさんになっていた


「(もー…年取ると寝るだけじゃ風邪は治らん…)」


昨日から微熱があり、動けなくなる前にとよたよた近所の病院へ急いだ


「(病院は嫌いだけど、ここの院長さんがほんっっとにかっこいいんだよねえ…)」


開業病院にしては少し大きめの内科で、自動ドアを抜けるとひんやりとした空気と、病院独特の匂いがマスクを抜けて鼻につく


「(うおー、この匂い…ッ苦手だ)」


名無しさんは問診票を書きながら体温を測り、ふわふわとしたソファへ腰掛けた。
うつらうつらしていると名前を呼ばれ、診察室へ向かった。


速やかな引き戸を開けると、王賁院長の姿


「(当たりだっ!最高…!)」


診察室は普通と変わりない、簡易ベッドとパソコンの画面が2台、医者の椅子と患者の椅子が置かれた部屋で、名無しさんは椅子に座るよう促された


「失礼します。(ふあー院長だあ…これだから病院も悪くないッ)」


「昨日から微熱…、症状は頭痛と喉の痛みだけか?」

「はい。」

「声がひどいな」


くつくつと笑う王賁院長はペンを置き、パソコンの画面に映し出されたカルテに打ち込む

名無しさんはキーボードを打つしなやかな手指を眺め、マスク越しの表情を想像した


「…マスク取って、口開けろ」

「ぁい…」


王賁院長の命令口調もこの病院の魅力ではなかろうか、患者はこぞって女ばかりだった。


王賁院長が椅子を寄せて名無しさんの顎に指を添える
それを合図に名無しさんは口を開けて見せた


「舌、もっとだせ。邪魔で見えない」

「ふあい、」

名無しさんは不埒な考えをどうにか払おうと努力はしたものの、ちらりと見える王賁院長の真面目な顔が、ぐっと心を震わせた


「かなり腫れてるな。
心音聞くから服上げろ」

椅子どうしを離し、またパソコンの画面に向かう王賁院長に、名無しさんはしどろもどろになった


「えっあ、」

「聞こえなかったのか?服を捲れっ、…て」


ギシリと椅子を鳴らし、振り向く王賁院長はこのとき気がついた。名無しさんは、あろう事かマキシ丈のワンピースを着ていたからだ


「…チッ」

王賁院長は明らかに不機嫌そうな舌打ちをした


「ご、ごめんなさいっ」

「はあ…、脱げ。」


大きなため息をついた後、王賁院長は椅子の背もたれに背を預け、足を組んだ


「(やばいっ…怒らせちゃったかも…!ぬ、脱がなきゃ)」

名無しさんは腰の細いベルトを外し、胸元にある2つの小さなボタンを震える手でぎこちなく外し、裾を捲りあげ脱いだ


「…阿呆。」


王賁院長は組んだ足を解き、椅子を寄せ聴診器を名無しさんの胸に2、3度当てた
名無しさんの体は硬直し肩は震え、目は固く閉じていた


「心臓うるせえな。鎮めろ」

「む、むりです…っ!(26の女がなにを興奮してるの…)」


名無しさんは必死にあれこれと色んなことを考え、鎮めようとしたが、空調が肩や背をヒヤリとさせる度に、儚く散ってしまう


「フン、心音は異常だが異常では無いな。
さっさと服着ろ」


そう言われると慌てて裾を下ろし、胸元のボタンとベルトを付け直した


「頭痛は薬ですぐに治るが喉の痛みは1週間程度、様子見だ。1週間経っても痛みが引かなければまた来い。」


「わかりましたっ…ありがとうございました!!」


そそくさと荷物を手に取って引き戸に手をかけた瞬間、おい、と声をかけられ名無しさんは振り返った


「次来る時は上下分かれた服で来い。」

「っ!!すみませんでした!以後気をつけますッ!」


バタン!と大きな音を立て、名無しさんは診察室を後にした
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