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部屋を後にした王騎は城にいる医者を呼んだ。
「…起きましたか。」
「ええ、ですが…記憶が」
「やはりそうですか。…王騎殿が即座に意識を失わせたおかげで大丈夫かと思いましたが…」
「彼女はまだ膠が生きていると思っています。五日間寝ていたことも、体調が悪かっただけだと…。」
これは膠の義妹が記憶をなくしたお話
「王騎様、私、いつになったら寝台から出られるのです?」
「そうですねェ…。私が一生、貴女をここに縛り付けたいと言ったら、従ってくれますかァ?」
王騎は名無しさんが横たわる寝台の横に座り、名無しさんの頬を一撫でした。
「う、うーん…へへ」
名無しさんは照れくさそうに、困惑しながら苦笑いを浮かべた。
「冗談ですよォ。」
「でももう私、こんなに元気ですし…早く膠と一緒に次の城を取り合わなきゃ」
「ああ、そうでしたね。」
王騎は名無しさんから目を逸らした。
「ところで王騎様、膠はどこに行ったんですか?一度も私を見舞わないで…。」
名無しさんは寂しそうな表情を浮かべ、薄い布団をぎゅっと握った