イドへ至る森へ至るイド

□光と闇の童話
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──そして歴史だけが残った……。
Und nur die Historie ist übriggeblieben
: ウント ヌァ ディー ヒス イスト ウープリヒ ゲブリーベン(CV.Sascha)


「待ーてよぉ」
「遅いよ兄さーん!」 (CV.沢城みゆき)
「待ってよ、お兄ちゃーん……いてっ、うええぇん」
「わあ、ごめんよ。痛かったなあ」
「おい! 井戸のとこに何か落ちてる!」
「お前なあ……」


光と闇の童話 : Das Märchen des Lichts und Dunkels
: ダス メルヒェン デス リヒト ウント ドゥンケル


「――そこ、足元に気をつけて」
「うん。」
「大丈夫?怖くないかい?」
「ええ、それより私、今とてもドキドキしているわ。
 ――だって森は、世界はこんなに広いんですもの!」


「じゃあ、今日はとっておきの場所を教えてあげるね。
 ――行こう!」
「うん!」



見上げれば丸い夜空 揺らめく蒼い月夜
神の名を呪いながら 奈落の底で唄う……



盲(めし)いた闇で彼が 光だと思っていたのは 誤りで
その温もりの名は 愛だと 後に知った



初めての友達は 碧い瞳の可愛い女の子(Mädchen:メドヒェン)
お別れさ
その切なさの名が 恋だと 遂に知らず



花に水を遣るように 儘(まま) 罪には罰が要る 嗚呼
やがて《迎宵》(Guten Abend:グーテン・アーベントゥ)
奔(はし)る《第七の物語》(Siebent Maerchen:ズィーベン・メールヒェン)
摂理(かみ)に背を向けて──



(drei…zwei…eins…:ドリュー、ツヴォイ、 アイス)



見下ろせば昏い大地 揺らめく紅い焔尾
母の瞳(め)に抱かれながら 奈落の底へ堕ちる……



「寂レタ村…マルデ墓場ネ…。」(CV.藤田咲)

「Elise…童話は、何刻だって墓場から始まるものさ…」


<何故 コノ村ニハ 今 誰モイナイノ?)
                (──其れは 昔 皆 死んじゃったからさ>
<ジャ...何故 昔 村人 皆 死ンジャッタノ?)
                 (──其れは 黒き 死の 病 のせいさ>
<ジャ...何故 ソノ森ノ 村ニ 母子(親子)ハイタノ?)
               (──其れは 或の【イド】が 呼んだからさ>
<ジャ...何故 【イド】ハ 何ノ為ニ 人ヲ呼ブノ?)
                   (──其れこそが 奴の本能だからさ>



嗚呼 墓穴掘っても 掘っても 掘っても 
必死に掘っても キリがない 「悲惨な時代さ」
嗚呼 死体と土塊(つちくれ) 死体と土塊 死体と土塊 
多層菓子(Mille-feuille:ミルフィーユ) 「無惨な事態さ」



生命の目的は→ ≪生キル事≫と≪増エル事≫
殺セと 侵セと 【イド】は唄う



「増エ過ギテモ…結局宿主ヲ殺シテシマウノニネ…」
「人と大地の関係と同じさ…さぁ、物語を続けようか…」

【仄昏き宵闇の森】(der Wald der Abenddämmerung
: デァ ヴァルト デァ アーベント ゲナート)


「ほんとにこっちでいいのか?」
「さあな、俺だって知るかよ」
「ったくよぉ、気味の悪い森だぜ」
「とう!あのガキ、噂のテューリンゲンの魔女のガキじゃねえか?」
「ひょー!こいつぁツイてるぜ!」
「「な!」」



夜露に濡れた 苔藻(こけも)を踏み鳴らす 少年の
その足取りは 哀しい程に軽く 少年を



呼び止めた声は 下卑た響きで されど彼はまだ知らない
嗚呼 世界の作為など 世間の悪意など 何ひとつ触れぬまま育ったから




「もし、坊っちゃん」
「えっ」
「我々は賢女殿に用事があってやって来たのです」
「坊っちゃんにご一緒させてもらってもよろしいですか?」
「もちろん構いませんよ、それでは僕が母の元へとご案内いたしましょう」)
「Danke schön」



友達を抱いたまま → 招かざる客を連れ → 優しい母の元へと → そして…



見渡せば──



「母上、ただいま戻りました」
「お帰りなさ…その男は何者です!?」
「坊っちゃん、ご苦労さん!」
「うわああああ!」
「メル――――!」


 「Therese von Ludwing 堕ちてもラントグラーフの血筋!
  貴様のその醜い頭、二度と胴体の上には君臨出来ぬものと思え!」
 「マジかよ!」
 「待て、待て待て待て待て!は、話せばわかる!」
 「喚くな、見苦しい!」
 「手こずらせるんじゃねえ、よっ!」


(drei…zwei…eins…:ドリュー、ツヴォイ、 アイス)


鳥に羽が有るように 儘 夜には唄がある 嗚呼
いずれ《迎暁》(Guten Morgen:グーテン・モルゲン) 
染まる《薔薇の庭園》(Rosen Garten:ローゼンガルテン)
摂理(かみ)を背に受けて──


(drei…zwei…eins…:ドリュー、ツヴォイ、 アイス)


「キミが今笑っている、眩い其の時代に。
        誰も恨まず、死せることを憾まず、必ず其処で逢おう」
                       〜『光と闇の童話(Märchen:メールヒェン)』



「第七の墓場...さぁ、復讐劇の始まりだ...」

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