ぶっく
□本当
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少し街の景色が変わり始めるこの季節
連なる街頭の下、##NAME3#の数歩先を歩く女性は、器用にこちらを見ながらおぼつかない足取りでふらふらと家へと向かっていた
「適当に選んだにしてはいいお店だったね
あのおじさんもすごい面白い人だったし
初めてなのに、あんなにサービスしてもらってよかったのかな?」
体温を二人で共有するかのように、mの腕に絡ませてくる彼女
「なんでかは分からないけど、また二人で行きたいね」
「ね!また、二人で」
上機嫌で彼女が答えた
「でも、麻衣はさすがに飲みすぎかな」
「そんなことないよ?
ほら!こんなところでも全然平気だよ?」
高めのアスファルトに上ったと思えば、少し自慢げに歩き始める麻衣
##NAME3#の心配をよそにそのアスファルトの上をどんどん歩く
「酔ってない人はそんな高いところ上らないと思うんだけど」
くだらないやり取りをしていると、いつの間にか##NAME3#の横に来ていた麻衣が呟く
「どう周りから思われようと、私はmといたい
今だってさりげなく車道側歩いてくれたり、私のことを常に考えてくれてるmが好き
酔ってるから伝えたわけじゃないよ
今何となく言葉にして伝えたくなったの」
口から白い息を吐きながら麻衣が幸せそうに話す
「乃木坂には入れて本当に良かった
いろいろな経験もできたし
何より、mと出会えたから
mは?
私のことどう思ってるの?
せっかくだから教えてよ」
少し恥ずかしそうに彼女は聞いてきた
「酔ってるって言っても麻衣ほどじゃないから、恥ずかしけど
一言でいえば、一言では言えない存在かな」
タクシーが横を通り過ぎ様子をついつい目で追ってしまう
「なによそれ」
嬉しそうに、その透明できれいな笑顔がmだけに向けられる
ルートが何本も存在するように、これからの私たちの関係もいろいろな可能性があるのかな
でも、これからも二人で幸せに過ごしていきたいと心から思ってるよ
mがずっと探してたものは、ずっと前に見つけていたんだね
麻衣という存在それ自体がmにとって何よりの…
ただいま、待ってた、たわいもない、いつものしりとりが、麻衣とのこの当たり前がいつまでも続いていきますように
願ってます
本当 / クリープハイプ