ぶっく
□風の強い日
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雨上がり、風の強い日
ケーキ屋の前を通りながら
あなたと行った場所を思い出してみる
今でも鮮明に思い出せる、あなたの笑うと目が線になっちゃう笑顔や、その優しく「麻衣」と呼ぶ声
初めて出会った日のことから、初めてmが私に気持ちを伝えてくれた日のこと
どれも昨日のように脳裏に浮かび上がる
いつからだろう、私がmを好きになったのは
いつからだろう、mが私を好きじゃなくなったのは
「ずっと一緒にいようね、大好きだよ麻衣」
あなたが言った言葉を信じていたわけじゃないけど、ずっとmと一緒にいられるなんて思ってなかったけど、本当に終わりが来るなんて思ってもいなかったな
いつもの商店街を通り過ぎたところにある公園には、もう気が付けば奇麗な桜が咲いている
「今年もきれいな桜が咲いたね、m」
まだ無意識にあなたに話しかけてしまう
「ああ、そうだったもう会えないんだった」
そう呟いて足を進める
この街にはmとの思い出がたくさん刻まれていて、それを思い出すたびに心が苦しくなる
それでもこの街を離れられないのは、まだあなたと繋がっていたいからなのかな
きっとmもこの街のどこかにいて、この街のどこかで息をしている
それが嬉しいのか、悲しいのか分からないけど、涙が溢れる
結局mが思うような、求めるような人にはなれなかったね
でもねm、私あなたが思うよりずっと変わろうと努力してたんだよ?
足りなかったのは、私の優しかあなたへの想いか
「それとも…」
想いが口から溢れる
あんなに弱い雨で桜は散ってしまうんだね
私は濡れた花を手に取る
あなたへの想いを忍ばせながら
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