ぶっく

□すれ違う思い
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mと麻衣ちゃんが同じ家に住み始めてもう三年になる


テレビをつければ見ない日はなく、いろいろな雑誌の表紙を飾る麻衣ちゃんと、かたや何のとりえもないmが一緒にいてもよいのかと三年たった今でも思うことはあるけど、そのたびに麻衣ちゃんは

「mかわいいね、ずっと一緒にいようね」
とmに甘い言葉をかけてくれる

三年間一緒に住んで分かったことは麻衣ちゃんはmにめちゃくちゃ甘いということ
ごはんの準備だって後片付けだって全部麻衣ちゃんがやってくれる
そんな麻衣ちゃんがmも大好きなのだ

これだけ一緒に住んでいると麻衣ちゃんから事前に予定を聞いていなくても、なんとなく麻衣ちゃんが帰ってくるタイミングがわかるようになってしまった

「もうそろそろ、麻衣ちゃんが帰ってくるな」
そう一人で生活するには広すぎるこの部屋でmは呟く

mの身の回りのお世話をほとんどやってくれる麻衣ちゃんに、せめてものお返しの気持ちを込めてmはいつも麻衣ちゃんが帰ってきそうになると、玄関でお迎えをする

少しすると家の前からヒールの音が聞こえて、鍵穴に差し込まれるのがわかる
三年も一緒にいるのになぜかこの時間は嬉しくなっちゃうんだよなぁ
そう思っていると愛しの人が

「##NAME1、##ただいま」
という声と共に現れる

「麻衣ちゃんおかえり」
そう寂しかった気持ちと、嬉しさを載せて返す

「今日もいい子にしてたかな?」
「麻衣ちゃんのことを考えながら待ってたよ」
mが言葉を返すと、麻衣ちゃんの透き通ったように白い手がmの頭を撫でる

「麻衣ちゃんに頭撫でられるのが一番好き」
今朝ぶりの麻衣ちゃんに感情が溢れ出てしまう

「mは本当に頭撫でられるのが好きだね」
そう言って幸せそうに笑う麻衣ちゃん

「着替えてくるから待っててね」
m的にはもう少し撫でてくれてもよかったのになぁなんて思いながら、麻衣ちゃんは寝室に向かった
まだまだ麻衣ちゃんが足りなくてmは麻衣ちゃんの後をつける

着替えている間そばで待っていた私は、麻衣ちゃんの着替えが終わると同時に麻衣ちゃんに飛び掛かった
「もう、今日はいつにもまして甘えん坊さんだね」
言葉とは裏腹に嬉しそうな顔をした麻衣ちゃんがmを抱きしめる

「そうだ、この後お客さんが来るんだった」
急に何かを思い出したと思ったらお客さんが来ると言い出す麻衣ちゃん

「mはそこらへんで座って待ってて」
そう言って掃除を始める麻衣ちゃん

「一応ここはmの家でもあるんですけど」
そう呟くも手伝えることはないので、大人しく言われたとおりに座って麻衣ちゃんの掃除っぷりを眺めていると
家のインターホンが鳴る
モニター越しに女性の声が聞こえる

「もう来ちゃったの?
まだ片付いていないけど、どうぞ」

そう言って麻衣ちゃんがモニターを切る
数分後家のチャイムが鳴り、背の高い女性が家に現れた
mは急に現れたその女性に警戒心を強めた

「ねえ、麻衣ちゃんこの女の人だれ?
ていうかm、お客さん来るなんて聞いてないし
そもそもこの人麻衣ちゃんとどういう関係なの?」
さすがのmも麻衣ちゃんに張り上げる

「初めまして、橋本奈々未です
しーちゃんとは仲良くさせてもらってます」
麻衣ちゃんに気を取られていると、橋本奈々未という人が私に近づいてそう答えた

「あなたも、急に人の家に現れるって常識ないんじゃないですか?
ていうか、麻衣ちゃんとはどんな関係なんですか?
しーちゃんなんて呼んで親しそうだし」

急に現れたこの女性に対してついつい声が大きくなってしまう
すると

「mこんな時間に大きい声出さないで、 近所迷惑でしょ?」
そう麻衣ちゃんが少し怒った表情で私に言う
しかしそれでもmの熱は冷めずに、二人に詰め寄る

「mが質問してるの
二人はどういう関係なの?
麻衣ちゃんはmだけじゃなかったの?」
橋本奈々未という女性が少し困った顔で笑うと、するとついに麻衣ちゃんが

「mもういい加減にして」
そう言ってmを抱きかかえ、ゲージの中へ入れる

「ごめんね、いつもはあんなに吠えたりしないのに」
「全然大丈夫だよ、これからmちゃんとも仲良くなっていきたいから」
「ななみんありがとう、そういえばごはん食べた?
簡単なものなら今から作るけど」
「それよりも..」

そう言って彼女は麻衣ちゃんを抱き寄せ口づけをした
mはその会話を、そのあとの甘い声をゲージの中でただ聞いていた


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