小説

□その背中を蹴飛ばしてしまいたい(佐幸)
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「ねぇ旦那。今度の日曜日空いてたよねー。駅前に新しくカフェテラスが出来たからさぁ、デートしようよデート!!」

「ば…馬鹿を言うな…で、でぇとなどと…!!というか何故俺のすけじゅーるをお前が把握しているんだ」

「え?まぁいいじゃないそんなことは。
というか、もう照れた旦那超可愛い!!ね、旦那こっち向いてよぉーねぇねぇ旦那ってばぁ」

「うっ…うるさい!!」

学校からの帰り道。
いつもの歩道橋の上で、佐助は普通にこういうことを言ってのける。

まったく油断も隙もありはしないとはまさにこのことだ。

すけじゅーるの謎も解けぬまま…隙あらば腕を組もうとしている佐助の腕を振り払い、そろそろ毛利殿に教わったあの一言を言ってやろうと口を開きかけた

その瞬間


「?!」
前に十分な注意がいっていなかったせいだろう。
目の前の下りの階段を踏み外し、身体のバランスが崩れた。

まずい…落ちるっ…!!

そう思い、きつく目をつぶり身を強張らせたその時

「旦那っ、危ない!!」





そんな佐助の声が聞こえたかと思うと、宙に浮いていた腕に強い力を感じ、次の瞬間には俺の身体は階段の上に引っ張り上げられていた。

まさに、一瞬の出来事だった。

「旦那大丈夫?!」

俺の身体を包んだ温もり。
耳元から聞こえた佐助の声。

全ての事象から導き出された結論を確かめようと恐る恐る目を開ければ

目の前には心配そうな佐助の顔。

「っ!!」
その現実を目に映してからたっぷり一拍おいて、俺は状況を理解した。

(佐助に…抱き留められている…?!)

その状況が恥ずかしくて
…何より…心配そうにする佐助の表情が…あまりにかっこよくて

俺は思わず佐助の腕の中から抜け出してしまった。
しかし、すぐにそれは失礼なこと…自分の危険も省みず俺を助けてくれた相手に対する態度としてはあってはいけないものだと気付き、頭を下げた。

「すっ…すまん佐助。咄嗟に離れてしまって…俺はお前のおかげでなんともない。

その…本当にあ、ああああ…」

ありがとう…と
言おうとした。

だが、その気持ちは佐助の次の一言で脆くも崩れ去ることとなる。










「…脱いで」

「……………………は?」
あの時、本当に我が耳を疑った。
どういう文脈であのような単語が出るのか、全く理解出来なかったからだ。
聞き間違いかと思って語尾を上げてみたが…

「だから、脱いで」

返ってきたのは同じ単語。
とうとう訳が分からなくなってしまい、感謝どころでは無くなった。

「なっ何故だ?!」

「俺、旦那を助けようと咄嗟に旦那の腕を強く握っちゃった…
ほら俺無駄に力強いから…そのせいで旦那の健康そのものって感じに焼けたその引き締まった腕に痕なんかついてたらどうしようって思って…
ああごめん旦那。痣ないか確かめるからここで脱いで!!
あ、でも周りの人に旦那の綺麗な身体見せたくないや…んじゃ旦那そこの公衆トイレ行こう?
そこで腕見せて?ねっ??
よし善は急げってことで、行こう旦那。


…旦那?」

俺が呆れて物も言えなくなっていることに漸く気付いたのか、何も言わない俺の顔を覗き込んだ佐助。

更に俺の表情が文字通り固まっていることに驚き、肩をさりげなく抱き寄せながら佐助は続ける。

「え、旦那大丈夫?!
ちょ…顔色悪いよっ…こりゃ大変だ…やっぱり医者に行こう!!
歩ける??ダメなら俺様おぶって行くよ??
あ、それよりお姫様だっこのほうが負担かからないかな…うん。そうだそうに違いない。
旦那、力抜いて…」




「佐助」

やっと…やっと口が動いた。
とは言えあまりにショックというか何と言うかが大きすぎて、また何も言えなくなりそうだったので

一言だけ、本当に一言だけ
あいつの阿保らしい心配顔に言ってやった。


「なに、どうしたの旦那。やっぱり腕痛むn「うざい」









その背中を蹴飛ばしてしまいたい
(うざいという俺の言葉を聞いてもなお
つんでれつんでれと喚き頬を染める今のこいつなら
どうってことないだろう…)



―――――――――――
ロメオ様ぁあああ!!!!
出来たはできましたが…うざすけになっているのかどうか…
せっかく素敵(?)なリクエストをいただいたと言うのに…!!私の文才はけし粒ほどしかないので…すいませんっorz

うざいとはいえどこかかっこよくて…
そんな佐助を目指してしまいましたが…いかがでしょうか…

毛利さんにも出演いただいて…あの二人は甘味を通じて仲良くなってたら可愛いななんてにゃっぴの勝手な妄想でしたすいませ((
こんな作品ではありますがお納めいただけたら嬉しいです。

改めてまして、相互リンク、ありがとうございました!!
これからもよろしくお願いいたします!!
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