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□歴代Web拍手作品集
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「ねえ、サンタさんて、どこに住んでると思う?」
急に君が真剣に聞くから、
「うーん…。」
なんて、考える素振りをした。
「やっぱりさあ、寒いところにいるのかな?」
「グリーンランドにいるって聞いたことあるけど。」
「ぐりーん…らんどって…、どこ?」
案の定、君は大きな焦げ茶の瞳を丸くして聞いてくる。
「えっと、北極の近く、かな。」
「ふーん。それじゃ、サンタさんてどうやって世界中の子供たちのプレゼントの希望聞くのかなー。」
「それは…、サンタさんに聞かないと分かんないなあ…。」
「やっぱり、サンタさんは凄いなあ!!」
尊敬の眼差しを遠くに向けた君。
…そっちは南なんだけどなあ。
「…サンタさん、何でもくれるのかな?」
「大体はそうじゃないかな?まあ、世界とかじゃなければね。」
「あははっ、おーいしってば。流石の俺でもそんなの頼まないよー。」
べしべしと、俺の肩を叩く君の手の力が、段々弱まって。
「……欲しいよ。」
「…?何が?」
俺の背中におでこを押し付けて、君の声がくぐもって、でもはっきり聞こえた。
「おーいしが。」
俺はそのままの体制で君に囁く。
「えーじ、俺がサンタさんだよ?」
「…え?」
だからもし、離ればなれになったってさ、
毎年会いに行くから。
「だから、泣かないで?」
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