小説

□掠れた声と、消えた鳥(佐幸#)
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「ちがっ…さすけ、俺は星など欲しくは…!!」


あれ、泣き止むどころか、余計、泣かせちゃったみたい…?


困ったなぁ…








「とって…もどって、くる…からね。そうしたら…ふた、りで…みよ、う?」


「もう…もう良いのだ…さすけ。」


闇が間近まで迫っているのが分かる。


瞼が重く、閉じられようとしている。


それがとてももどかしいのだけれど、逆らえない『運命』は、俺をそちらへ引っ張ろうと俺の全てを奪っていく。


そしてそれを知ってか知らずか、旦那はより強い力で俺の体を抱く。


その手は、震えていた。







「だ……いじょ、うぶ…。す…ぐ、もどって…く、るから。…まって……て。」


「っひっく…やだ、やだ…さすけ…逝くな…。」



また戻ってくる。


あなたの涙を今度こそ拭いてあげるために。


それは約束ではなく、決意だ。



















「そ………した、ら…い、えるか…な…?」


もう、旦那の声も聞こえないけれど


何もかもを奪われたこんな俺だけど


心の隅に、まだ強い光が残っているのに気が付く。


それは、ずっと昔から持っていて、伝えることの出来なかった、熱い想い。





「ずっ…………と……、……な、が………。」














嗚呼、ダメだよ旦那。


もう、時間だ。
















「…すけ…?」





一つだけ、神様の気まぐれで、こんな罪深い忍の願いが叶うなら








体は朽ちても、この想いだけは消えないで欲しい。








そう…だな、ほしになって…光り続けられたら、いいな…。





















「…うそだ。そんな…さ、すけ…っさすけぇえええー!!」
























掠れた声と、消えた鳥


血濡れた烏を抱いた彼は、何度も其の名を呼び続け


声が掠れても呼び続け


そのまま、戦禍に呑まれて、彼の命も消えてしまった。






























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