小説

□雪の様に生きる(斎千)
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はらり

はらり…

また、この季節が巡ってきた。

「一さん、おはようございます。」

「…ああ。」

むくり…と、起き上がる。

予想していたような寒さは無い。

見れば、部屋には火鉢があり、暖かな温もりを与えている。

「火鉢か…。」

「はい。今日は特に寒かったので…」

「ありがとう。」

そう言いながら、慣れないながら微笑むと、千鶴は頬を赤らめた。



あれから…あの日々から…

どれくらいの朝を

お前と迎えただろう…

いつ途切れるとも分からないこの命を

お前の側で散らせられることを

俺は…幸せに思っている。

そう、伝えたいのに

やはり、俺の口は重く…






素直に、なれない


仕事の帰り、ふと空を見上げる。

確かに…今日はいつもより寒い。

これは…降るかもしれないな。

そんなことを思っていれば、俺を呼ぶ声。



駆けてきた千鶴に、いつかのように俺は囁いた。

「雪、降るかもな。」

すぐに溶けてしまうような

雪のような命なら

せめて…

この美しい雪のように

お前の心に何かを残せたら、いい。



「好きだ、千鶴。ずっと…ずっと、だ。」









――――――

のまかぷ久々(o^∀^o)

斎藤氏が一番だ←






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