小説

□Spark!!(デンジ×主人公)[pkmn.プラチナ]
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※主人公の性別はどちらでも…一人称は僕ですが…お好きな方で当て嵌めながら読んでいただければ…

















ポケモントレーナーならば、誰もが夢見る地…ポケモンリーグ
その入り口であり、その名に相応しくこの地方を照らす『シルベの灯台』のあるこの街―ナギサシティに僕はいた。
ここを初めて訪れたのは二ヶ月前…例に漏れず、ポケモンリーグへの挑戦を夢見てこの最後のジムを訪ねた時だ。

あれから色々あったものの、僕はこの街のジムリーダー、デンジさんに勝利しポケモンリーグへ挑戦
なんとかそちらでも勝利を納め

今再びこの地へ戻って来たのだ。




というのも、デンジさんの親友でありポケモンリーグ四天王の一人でもあるオーバさんから、デンジさんの所へ行けとの御達示があったからだ。

「…はぁ」
思い付く最も可能性が高く、それでいてそうあって欲しくないと思う状態を想像して思わず溜め息。

ボールに愛鳥のムクホークを戻しジムに向かったはいいが、入ることなく引き返す羽目になってしまった…まぁ、予想はしていたが。

ジムの入り口の『ジムリーダー休憩の為不在』という
なんともバカバカしい張り紙を見れば、嫌でも引き返さなければいけないじゃないか…なんて思いながら、彼のいそうな場所に向け歩を進める今の自分が
二ヶ月前の自分に重なり合うが、特に何も感じない。
…これは、本音だ。



















案の定、彼―デンジさんはシルベの灯台の展望スペースで遠くの風景を瞳に映していた。
そう、瞳に映しているだけで、見ようとはしていない…そんな感じなのだ。

「デンジさん」

飽きれながらも彼の名を呼ぶと、彼はまるで僕を待っていたとでも言いたげな笑みを浮かべながら振り返り一言「来るんじゃないかと思っていたよ」

…やっぱり


自分でも分かる位不機嫌な顔をしながら彼の隣へ歩み寄る。
それを横目に見るように、彼は一度はこちらに向けていた顔を前方の海へ移した。





「また、抜け出したんですね…ジム」

また、という部分にかなりのウエイトを置くと、彼は少しだけ困ったような笑みを浮かべるが、それもすぐにどこへやら。

何ともやる気の感じられない表情で更に一言「だってつまらないから」

例え挑戦者がおらず、ジムが実質"暇"であってもジムリーダーはむやみやたらにジムを開けてはいけない
それは挑戦者側であるあまたのポケモントレーナーが考えた勝手な規則なのだろうかとも一瞬思ったが、まずそれはないだろう…。








二ヶ月前…僕がジムに行った時もデンジさんはジムにいなかった。
強い挑戦者を求めながらも、長いことそういう人物に出会えず、趣味の機械弄りに没頭するあまり街の電力を大量消費し、挙げ句の果て全てにやる気を無くし…毎日のようにこの灯台からぼんやりと外を眺めるだけ

そんなデンジさんをオーバさんの助言を元に説得し、戦い…そして勝ったのは紛れも無い、僕。

熱いバトルが出来た、と
興奮気味に話したデンジさんは
何処にでも…どの街にもいるようなポケモントレーナーであり、ジムリーダーだったのに…

目の前の彼はどうだ!!
これでは僕が来る前と変わらないじゃないか!!

少し怒気を含めてその旨を言葉遣いに気をつけながら伝えると、彼は驚いたように目を少し見開いた。

「そんなことはないさ。これでも君との約束通り、チャレンジャーの挑戦はちゃんと受けているんだよ?」

「それなら何故ここに?」

「チャレンジャーがいないからさ」

シンプルな答えだ…

とは言え、僕との約束も守っているし、理屈も通っているだけに…注意しづらい。

どうしたものかと考えていると、彼が急に「それに…」と呟いた。

「何ですか?」
また言い訳でも言い出すのかと構えた僕に思いも寄らない一言「こうしていれば、君が来てくれるんじゃないかと思って」

「………え?」

彼の言葉の真意が読めない。

「オーバのことだから…俺がこうしていれば君に連絡するだろうなって…

君に、会いたかったんだ」

「っ………」
深い意味は…無い、よね?

「勝利すると…ポケモントレーナーにとって忘れられてしまうんだ…ジムリーダーって。

それはまぁ、しょうがないことなんだけど…それでも俺は君に会いたかった。

君、に」

いつの間にか…彼は僕の目を見ている。
窓から射す太陽光に、彼の見事な金髪が煌めいている。

彼の言ったことは…悲しいけれど本当のことだ。

だけど…僕を待ってたって…

胸が痛い…違うよね?別に高鳴ってるとかじゃない、よね?!













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