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□ハロウィンのいたずら
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死者が蘇るイベントだって言ったら、どんな顔するだろう。






**ハロウィンのいたずら**







「―…、えーじ、何その格好…。」

10/31の夜、我が家の扉を叩いた主は、吸血鬼をイメージしたのか、マントを着、白いワイシャツの胸元に赤いリボンをしていた。

「おーいし、ハロウィンだよー!!Trick Or Treat☆」
満面の笑みで両手を差し出す愛しい恋人、菊丸英二のその可愛らしい仕草に、思わず頬が緩んだ。
「えーじ、可愛い。」
「えぇ…っ?!吸血鬼に変装して可愛いとか言われても…。なんか複雑う…。」
「まあ…確かに。」

俺は、家族に怪しまれないよう(いや、もうばれてるか…)に、玄関の扉を後ろ手に閉めた。



そして、灯りに仄かに照らされた英二の姿を見る。

秋の夜の冷え込みと、薄着も相まって、英二の頬は紅くなっていた。





「うわ、真っ赤。」

俺は、呟きながら英二の頬に触れた。


「しかも、冷たい。」



絆創膏のある頬は、氷の様だった。



俺は手のひらで英二の頬を挟んでやった。



そしたら

「くぅぇっ…!!」

だって。
本当に可愛い。




俺は思わず、紅潮している英二の頬に軽いキスをした。




「って、おーいし…、なに急に…。しかもこんな所で…。」
「ん…?いや、あんまりにも可愛いから…。ついね。」
「〜っ。なんだよぅ…。」
人気のありそうな場所での俺の不意討ちのキスに、流石の英二も焦りを隠せないようだ。



手で顔を覆いながら、英二は当初の目的を思い出したのか、おもむろにお決まりのあの言葉を再び叫んだ。

「おーいし、Trick Or Treatだってば!!お菓子をくれないと、イタズラするんだからなっ!!」

「分かったよ。ちょっと待ってて…。」

俺は、家の中に戻ろうと足を扉へ向けて…
ふと、ある考えが浮かんでその足を再び英二に向けた。

「ん…?なに、おーいし?」
「…お菓子、あーげない。」
「ええっ!!??なんでえ〜??!!」
驚く英二の耳元で
俺は囁いた。











「えーじにイタズラして欲しいから…。」

「っ…/////!!!」


「ね?」

「しっ、知らないよぅ!!」











慌てたように
しかし、しっかりお別れの言葉は忘れず
去っていくキミの背中に
黒い風が
舞っていた。










「HAPPY HALLOWEEN…、えーじ。」












―…次の日の朝、学校の大石の机の上に卵が置いてあったが

その犯人は








言うまでもなかった…。










「HAPPY HALLOWEEN…、おーいし。」




-fin-
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