砂時計

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『ばか。ばか。ばか。ばかぁー!』

蒼空と神田は食堂のテーブルでご飯を食べていた。

蒼空はオムライス

神田はもちろん蕎麦。


神「あー、分かったからさっさと食えよ」

『うわーん、ばか、ばか、おいしいよー、ばかぁ!』

神「バカにするか味わって食うかどっちかにしやがれ」

『美味しいよぉ〜!卵ふわふわでとろとろ!』


卵もご飯も絶妙にマッチしていて凄く美味しい。

『美味しい♡』

神「・・・」



さっきから神田がじーっと蒼空の食べる様子を見ている。

ふっふっふっ、羨ましいんだな☆


『あげないからね!』

神「いらねーよ、んなお子様ランチ」


『お子・・・』

(回想・・・)

オムレツの頂点には、ジェリーがサービスして小さな旗を付けてくれたのだった。

蒼空はそれを見て子供のようにはしゃいでいた。

(回想終)


『・・・じゃぁ何でじーっと見てるの』

神「いや・・・ただ、旨そうな顔して食うな、と思って」

『だって美味しいんだもん!神田はもっと美味しそうな顔して食べたら?』

神「?旨そうに食ってないか?」

『だって無表情じゃん。もっと感情出していいんじゃない?』

神「はぁ?」


SIDE 神田

『神田ってさ、あんまり感情出さないけど・・・もっと出したらいいと思う』

神「・・・。」

『いっつもムスッとしてるから、いろんな人に誤解されちゃうんだよ』

神「・・・貴様、何が言いたいんだ」


神田がキッと睨みつける。

蒼空はそれでもお構いなく続けた。

『あのね、たまに聞くんだ。神田は厳しくて冷血で酷い人間だって陰で言われてること』


んなこと昔から知ってる。

実際そうだし、周りにどう思われようとどうでもいいことだ。

神「まぁ、実際そうだしな。・・・で、何だよ」


『私は、神田は凄く優しくていい人だと思ってる』

神「俺が優しい?お前、おかしいんじゃねーの」

『確かに、第一印象最悪だったし、いっつもムスッとしてるし、さっきだっていぢわるだったけど、ホントは凄く優しい人・・・でしょ?』

神「知らねーよ」

『・・・だから、私はそんな神田が好きだし、色々知りたいって思う。どんなときに何を思うかとか、何が好きとか、何でもいいから知りたい。・・・だめ?』

俺を知りたい?

意味分かんねーし。

・・・好きなヤツにそう言われるのは嬉しい。


だけど、俺は傷つけることしか知らないんだ。





神「・・・・・・お前、ウザイ」


ほら、また傷つける言葉しか言えない。

蒼空の傷ついた顔を見たくなくて、俯いて蕎麦を食べる。


『今頃知ったの?バカだね、神田って』




・・・は?

神田が顔をあげると楽しそうに笑う蒼空がいた。

『いや、神田がバカなのは初めて会ったときから気付いてたけどね、うん。あはは』


・・・笑っていやがる。

強がりとかそんなんじゃなくて、本気で面白がってる。


変な女。




『私はウザくてちょっとばかし変わってるの。知っといて』

神「・・・(もぐもぐ)・・・ちっ。」



蕎麦を飲み込み舌打ちをする。

『あのね、ついでだから教えてあげる。神田って、意外と感情が表情とか仕草とかで出てるんだよ』


・・・それは知らなかった。

絶対に出さないように心がけているつもりだったが・・・



ん?

てことは、俺がコイツを好きなこと・・・バレて・・・



蒼空が耳もとで囁く。

『神田って、リナリーのこと好きでしょ?』



・・・あ?

俺がリナリーを?


何寝ぼけたこと言ってんだ。



神「・・・何もわかってねーじゃねーか、バカ」

『えー、嘘。だって私を見る目とリナリーを見る目が違うもん・・・』



ばか。

それは、蒼空を見る目がトクベツ・・・



神「はっ、バカだな、お前。一生わかんねーよ、俺の好きなヤツなんて」





『・・・ふーん、いるんだ。好きな子』



しまった。

こいつ、もしかして・・・


俺をはめたな。



『神田ってやっぱりバカなんだね』

神「るせーっ!斬るぞ、バカ!!」




六幻を抜刀し、蒼空の喉もとに剣先を向ける。

『で、誰?』



蒼空がニコニコしながら聞いてくる。


畜生。

俺が斬らないことを知っていやがる。


蒼空は六幻を鞘におさめ、無表情で言う。



神「いない」

『ふーん、じゃぁ、イノセンス使って吐かせてもいい?』



・・・

こいつのイノセンス・・・

超性質悪!




神「ほぉ・・・じゃぁやってみろよ」


強がって言ってみる。

表情も、余裕そうに。



『・・・やっぱいい。これで聞いちゃうのは反則だから。でも、いつか絶対に探し出してやる!』

神「一生分からねーよ、お前には」


『分かるもん!・・・多分』




わかんねーよ。

っつーか絶対に知られちゃ困る。


神「ばーか」

『神田よりはバカじゃないもん』

神「・・・るせー」


『うーん、やっぱイノセンス使っちゃおうかな』

神「ふざけんな」

『使っちゃお♡』

神「やめっ・・・」


蒼空の口を慌てて塞ぐ。

『んぐっ』



神「はぁー。」




ラ「・・・なぁ、さっきから何やってるんさ?」


『「!?」』


いつの間に居たんだこのバカ兎・・・

神田は驚いて手を離してしまう。



『ねーラビ、神田の好きな人知ってる?』

ラ「そりゃぁ・・・「ほぉ・・・言ってみろよ」


神田は六幻を抜刀し、ラビの喉に近づける。

隙間は1mmも無いほどギリギリのところ。


ラ「わ、悪いさ、蒼空!言ったらマジで殺される・・・」

『ラビ!死んじゃっていいから教えて!』

ラ「蒼空酷いさぁー!!」

神「言えんのか?ラビ」

ラ「言えません言えません言えません!」


ちっ・・・

神田は六幻を鞘におさめ、舌打ちをする。


『・・・ラビのいぢわる。死んじゃっていいから教えてってゆったのに・・・』



蒼空が上目遣い&涙目で兎を見つめる。


神「(ムカッ)」

覚えてろよバカ兎!(←羨ましい)



ラ「さらりと酷いこと言うな!」

『ちぇー。』
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