砂時計

□009
2ページ/7ページ


SIDE 神田

ティキに貰った鍵を頼りに、神田・アレン・ラビ・リナリー・クロウリー・チャオジーはひとつの部屋のドアを通る。


ア「何だ、ここ・・・?」

ラ「外じゃねェな・・・」

神「!」



何か、人の気配を感じた。

少し身構えると、アレンがその様子に気づく。

ア「!? 神田?」

神「シッ 黙れ」




少し離れたところに、後を向いた小柄な女がいた。

神「いるぞ」



十中八九、ノアだな。

アイツ、戦う気あんのか?

動きにくそうなドレスを身に纏っていやがる。

舐められたもんだな





神「お前ら先行ってろ」

ア・ラ・ク「「「えっ!?」」」

ラ「ユウ?」




気のせいか・・・

あの背中を、見たことがある気がする

俺が探し回っているヤツと、どこか重なって見える




リナ「カッ、神田一人置いてなんかいけないよ」

神「勘違いするな。別に、お前らの為じゃない」



(中略)




リナ「神田っ」

リナリーが呼ぶが、何を言うのかなんてわかりきってるし、メンドクサイから無視をする。

リナ「神田っ、ちゃんとあとでついてきてね」

神「・・・」

リナ「・・・絶対だよ」

神「・・・・・・」

リナ「返事しなさい!!」

神「わ、わかったから早く行け」




リナリー達を先に進ませて、神田は六幻を構える




クス

クスクス

クスクスクスクス・・・


『あ〜、やっぱりさっきの美形クンだぁ!ロード凄い、ホントにこの子が残った!』




ドレスの女が振り返る

・・・やはり・・・

やはり、コイツだった

俺が探し求めた、蒼空だった・・・




でも、俺の知る蒼空とは違う

蒼空の肌は透き通るような白で

もっと目は優しくて

こんなに殺気なんて出さない



今目の前にいる蒼空は、褐色の肌

額にはノアの証、聖痕

鋭い目つき

禍々しい殺気…




『聞いた話によると私、エクソシストだったらしいんだけど、私は全然覚えてないからハジメマシテ。数時間限りの縁だけど、ヨロシク』


今・・・何て?

エクソシストだった・・・らしい

何言ってるんだ

自分で言ったはずだ・・・

神「自分はエクソシストだって言ったはずだ。忘れたなんて言わせない」

『残念。【蒼空】は、残酷な記憶の消去の代価として昔の記憶も共に全てを消去してしまいました♪』

神「・・・は?」





『私も、どんな記憶を消したのか分からないんだぁ。伯爵が言うには、ノアの私が、昔の私の記憶を全部消してくれたんだって』

神「お前本当にそれでいいのかよ!」

『どういう意味?』

神「蒼空はお前ひとりしかいねーんだぞ!?自分消されていいのかよ!」

『苦しくて辛い記憶から解放されたんだよ?最高じゃない』

神「・・・そんなに辛い過去があったなら・・・何故、俺に何も言わなかったんだ・・・」




悔しい

全てを投げ出してでも救いたいと思った女を救ってやれなかった

俺は何もしてやれなかった


・・・本当にそうか?

違うだろ

まだ、俺は何もしていない。




『・・・あぁそうか。キミ、エクソシストだった頃の蒼空に惚れてたんだっけ』

蒼空は楽しそうにクスクスと笑う。


惚れていた――・・・

そうだな、俺は、蒼空に惚れていた・・・



『私はノア。キミの知ってる蒼空は、もういないんだよ。神田ユウ』
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ