夢舞台
□Star Festival
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『綺麗な星…』
夜空を見上げて、シオンは素直にそう呟いた。
『晴れて良かった。
織姫と彦星もきっと会えたよね、一年ぶりに』
そう、今日は7月7日の七夕の日。
天の川を境に離ればなれになっていた織姫と彦星が一年に一度だけ逢える日なのだ。
短冊に願い事を書き、笹に飾る事でその願いが叶うと云われている。
葉達も昼間からなるべく高い笹を採り(アンナの命令で)、短冊にそれぞれの願い事を書いた。
「シオン、花火の用意できたわよ」
アンナがシオンを呼ぶが、実際に用意したのは葉達である。
『は〜い!』
元気に返事をしてシオンはアンナの元へ駆け寄り、共に葉達の所に小走りで向かっていった。
今日は日本人の葉達だけでなく蓮達も七夕という行事に則(のっと)り、浴衣や甚平を着ていた。
シオンも白い木綿生地に3色の朝顔をあしらった浴衣を着て、いつも下ろしっぱなしの髪もおだんごに結い上げている。
「お〜い、シオン!早く来ねェと花火がなくなるぞ〜!」
『待って〜!』
葉達はもう既にそれぞれに花火を始めていた。
チーム・THE・蓮は相変わらずで、ホロホロとチョコラブが笑って花火をかけ合い、やはり蓮が怒りながらも軽やかに火花をかわしていた。(良い人も悪い人も絶対真似してはいけません(><))
それとは逆に葉達ふんばり温泉チームは穏やかに花火を楽しんでいた。
シオンも袋から花火を取り出して火を点け、みんなと一緒に花火を楽しんだ。
『星も綺麗だったけど、花火も負けず劣らず綺麗』
「そんな物は空気を汚染するだけだよ」
『………あれ?』
「やあ、シオン(にっこり)」
突然いつもの笑みと共に、自分の真横に現れた未来王にシオンは目をパチクリさせた。
「な、何でハオがここにおるんよ?」
「いちゃ悪いのかい?」
『あ……やっぱり本物なんだ』
シオンは突然の事で自分の目の錯覚かと思ったのだ。
「ひどいなぁ、僕は幻じゃないよ。ちゃんと触れられるだろう?」
ハオは花火を持っていないシオンの片手を掴んで自身の胸に当てさせた。
「ちょっと。馴れ馴れしくシオンに触ってんじゃないわよ」
「やあ、アンナ。その浴衣似合ってるよ」
「お世辞はいいわよ。シオンから離れなさい」
心にもないと分かっている誉め言葉をアンナはさらっと流し、ハオを睨み付けた。
「怖いなぁ、殺すわけじゃないのに」
「あんたの場合はもっと危険なのよ」
「ハハッ、誉め言葉としてもらっておくよ。
あと……ちょっとシオンももらっていきたいんだけど」
「ダメよ(キッパリ)」
間髪入れずにアンナは答えた。
目が「あんたみたいな変態にシオンを易々と差し出せるもんですか」と、はっきりと訴えかけていた。
『ハオ〜、線香花火あるけど一緒にやらない?こっちなら大丈夫じゃないかなぁ?』
話の中心であるシオンは状況を分かっておらず、ハオに線香花火を勧めた。
そんなシオンに二人は呆れるやら苦笑するやら複雑な気分になった。
ツッコミやリアクションの激しいまん太やチョコラブでさえ何も言えなかった。