Novel

□★Am I worthy of you?
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今年もまた、この時期がやって来てしまった。

「はぁ…」

会議室へと続く自分の家の長い廊下を歩きながら、俺は大きくため息をついた。
原因は明白だ。なぜなら『あの日』が近づいているから。
毎年6月の下旬頃になると、体調が極端に悪くなる。ここ100年以上、ずっとだ。悪夢から始まり、不眠、食欲不振、目眩と、数えあげればきりがない。
なんとか忘れようと仕事と侵略に明け暮れた時もあったが、それでもやはり襲ってくるこの不調に対して、最近では半ば抗うことも諦めていた。
しかしどんなに辛くても、連合の会議を休むわけにはいかない。
絶対に知られてはならないのだ。大国である自分が、こんな昔のトラウマから抜け出せていないなんて。只でさえ今は大切な時期、弱みを見せればすぐに足元を掬われてしまうだろう。
(――自分でも、女々しいとは思っちゃいるんだがな…)
そんな事を自嘲気味に考えていたその時、突然背中にドン、という衝撃を感じて思わず前に倒れそうになる。慌てて体勢を整えてから振り向くとそこには、俺の現在の不調の原因であるアメリカが能天気に笑っていた。




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