Novel
□☆wierzyc
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「――ポーランド!」
ドイツ騎士団への勝利が確定したあと、俺は疲労と安堵からへたり込んでいるポーランドに駆け寄った。
「リト、声うるさいし……」
そう言う声にも、伴って向けてくる視線にも覇気が無い。俺は必死に冷静さをなくさないようにしながら、自分の腕を彼の背中に回した。
「ごめん、ポーランド……作戦とは言え、お前のこと見捨てて逃げるような事をして」
その上、こんなにも傷つけて。
直接の原因である騎士団には不思議と何の感情も湧かなくて、俺はただ自分自身の腑甲斐無さに唇を噛んだ。うっすらと、血の味がした。
そんな俺にポーランドが不思議そうに、本当に不思議そうに言う。
「なんで、リトが謝るん?」
「なんでって…だから、俺がポーランドを「別にいいし」
「え?」
正直予想していなかったポーランドの台詞に、何だか間抜けな声が出た。そんな俺に「リトの顔マジウケるし」と割と傷つくことを言いながらポーランドがいつもみたいにニヨニヨ笑った。良かった、本調子が戻って来たみたいだ。
「別にって…ほんとにいいの? ポーランド、死にかけたんだよ?」
「リト、しつこい」
思わず何度も聞き返すと、今度はそう両断された。…しつこい、だって。
「マジで俺そんなこと気にしてないし。まーちょっと遅いとは思ったけど…リトのこと、マジ信じてたし」
そう言って、ニカっと笑った。泥にまみれてすっかり汚れてしまった顔で、それでも妙に自信あり気に笑った。