novel

□バレンタインキッス
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2月14日――
バレンタインデー

女性が男性へチョコと共に想いを伝える日。


街のどこを見渡してもチョコレートの文字が目に入る

チョコレートフェアをやっている店の前を通れば甘ったるい香りがする


俺の横を通り過ぎる女性達の口からは"手作りチョコ"の言葉が聞こえる


手作りチョコ?
売ってるチョコレートを溶かしてまた固めるだけだろーが。

何故わざわざ既に固まっているものを溶かしてまた固めるのだろう。


「どいつもこいつも浮かれやがって」


ドンッ!


「痛て…」


誰かとぶつかったと思い、下を見ると餓鬼が1人しりもちをついていた


「オイ、大丈夫かィ餓鬼」

「前向いて歩けよな!」

「すいやせんでしたねィ」


餓鬼の周りには可愛くラッピングされた小さなチョコが数個落ちている


「チョコ落ちてるぜィ」

「あ!貰ったチョコが!」

「それ全部貰ったんですかィ?」

「そーだよ。

中身無事だったから兄ちゃんに1つやるよ」
 
「どうせ母ちゃんから貰ったもんだろ」

「うるせー!兄ちゃん1つも貰ってなさそうな顔してたからお裾分けだ!」

「こりゃどーも」


手のひらには餓鬼から貰った小さなチョコが1つ


俺が貰ってもねィ…。
俺はあげる側なのに。


ハァと溜め息をし、まだ肌寒い空を見上げた
 
 
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