哀歌夢
□はじまりの歌
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-------ぱちくり。
「・・・・誰?」
**〜はじまりの歌〜**
「あら〜、ルキちゃん。もう起きてきたの?」
「うん、おはよー。」
「いま、ごはん作るわね」
「うん!」
ママンが台所に入っていくのを見つつ、大きく欠伸をしながら席につく。
はあ・・・、ねむ。
けど、また寝る気分でもないというか・・・。
・・・・変な夢だったな・・・。
「おい」
ふと、そんなふうにぼんやりしていると
背後から突然降りかかる不機嫌そうな寝起きのかすれ声。
「邪魔・・・。」
「あ、兄者だー!」
振り返った先に、今は一人暮らししているはずの兄がいた。
いつもは艶のある黒い髪も、いまは寝起きそのままであっちこっち寝癖がついている。
巷では夏の暑さも冬の寒さもノープロブレムといわんばかりに爽やかに整っていると謎の評判の顔も、低血圧故の朝の不機嫌さにえらいしかめっ面になっていた。
「おはよー」
「…ああ」
これは何か喋るのも億劫なのだろう。
びっくりしつつも慌てて私はいつもは兄が座っているその場所を譲った。
「あれ?兄者、いつの間に帰ってきてたの?めずらしいね。」
大学に入学とともに大学の近くで一人暮らしを始めた兄は、滅多にこっちの家に帰ってこない。たまに気まぐれに帰ってくることがあったりするけれど、それもかなり珍しいことなのだ。
ほんのちょっとだけ寂しいと思わないこともないけれど、
ママンいわくバイトやら大学の課題勉学なんやらと、いろいろ忙しいらしいのだ。
「ああ、夜中に帰ってきたんだよ。お前がグースカいびきかいてる間にな。」
「ちょ、あたしゃいびきなんてかきませんぜ旦那〜!
なんてったて、うら若き乙女ですから!」
「はっ(嘲笑)」
鼻で笑うなあああ!
なんですか、私がいびきかくとでも?
え・・・
まじで?
それって、ピチピチ(死語)の乙女としてどうよ?
どうなんだ?
まあいいや。
「何まじめに考えてんだお前。冗談に決まってんだろ」
「兄ぃい;そういう冗談は思春期のおにゃごにはとっても心臓に悪いからやめてくれよ、一瞬自問自答してまあいいかなんて思っちまったじゃないか」
「・・・。ふう。」
「やめてええええ可哀そうな子を見るような眼差しやめてえええええ!溜息やめてえええ!」
「大丈夫、お前みたいなアホでも一応俺の妹だからな。何かあったときは俺が何とかしてやるさ。・・・多分」
「最後おおおおおおおおお!!」
―――コトン。
「はぁい☆
ごはんよ〜ルキちゃん、一樹ちゃん★。」
「・・・ああ、すまない。ありがとう母さん」
「わーいwママンありがとう!」
「それじゃあ♪ふたりとも?」
「「「いただきます。」」」