暇つぶし

□深淵幻想交響曲
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ep.1 目覚め










―――ただ、一言も語ることなく。

全てを胸の内に秘めて、
・・・ルークは、その時を迎えた。















徐々に崩れ落ちるエルドラント。

その場所に、ローレライの解放を果たすため、一人残ったルーク。





青白く輝く譜陣に包まれ、その手には一人の青年が抱えられていた。




そのまま地核へと沈む中、
借りの姿を模したローレライがルークに語る







『世界は消えなかったのか。
私の見た未来が、僅かでも覆されるとは・・・

驚嘆に、値する。』







その言葉に返すかのように、ルークは一つ瞬きをし、薄く微笑んだ。













これで




・・・全部、終わったんだ。




ようやく、これで・・・











自身が解けゆくような、淡い感覚の中、

ルークはうっすらとその時がきたことを、感じとった。



ゆっくりと閉じられる瞼、やがてルークの身体が、眩いような光に包まれた。




































最期に思い描いたもの















それは






















































































深淵幻想交響曲























「・・・っ!!!」


それはまさに夢から覚めるような感覚で。

「あ、あれ・・・?」


目の前に広がる夜空。
素肌に触れる冷気が今自分が野外に寝そべっていることを知覚させる。

その事とつい先ほど目まぐるしく駆けめぐった情景との違いにルークは頭を混乱させずにはいられない。
思わずぱちぱちと瞬きをした。


ここは、どこだ??







確か、師匠との剣の稽古に妙な女が乱入をしてきたあげく、師匠を襲おうとしたのを止めようとしたところまでは覚えている



起き上がり、辺りを見回して
ルークはすっと無意識に息を吐いた。

「・・・タタル渓谷」




ぽつりと口からこぼれ落ちたこの場所を示す言葉。


俺は知らない。


知らないはずだった。
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