短編小説

□大石蔵人
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大「そうなんですか?そりゃまたどうして?」



「俺は小さい頃、両親を亡くして施設にいたんです。それを爺ちゃんに引き取れたんですよ。」



大「そうだったんですか。私はてっきり、本当のお孫さんだと思いましたよ。あなたの雰囲気が厳さんに似ているもんでね。」



「ははは。それ、良く言われます。本当に不思議なんですよね(笑)」


そう言って笑う三橋君はやはり、厳さんに似ている。……なんでしょうねぇ?この子に何かあれば助けてあげたいと思っちゃうんです。……そう、厳さんが私にそうしてくれた様に………。



大「………いやぁ、厳さんには本当にお世話なりました。」



「ははは。爺ちゃんは世話焼きでしたからね(笑)たまにやり過ぎで困らなかったですか?」



大「いやいや、私ゃ、厳さんのお陰で刑事を続けれてると言っても過言じゃないんです。私が仕事やプライベートで何かやらかす度にあの人に助けてもらったものですよ。」



「ははは。大石さんもヤンチャだったんですね?」



大「なっはっはっは!若気の至りってやつですよ(笑)」



「大石さん。これから時間あります?」



大「ん〜、実は勤務中なんですけどねぇ。何ですかぁ?」



「いやぁ、今日会えたのも何か爺ちゃんに引き寄せられた感じがありましてね。良かったら、爺ちゃんの料理を大石さんに食べてもらいたくて。」



大「ほほぅ。これは驚いた。三橋君は厳さんの料理を再現出来るんですか?」



「ははは。まぁ、真似事みたいな感じですけどね。」


大「んっふっふっふ。なら、話は別です。良かったら、署の厨房で作ってくれませんか?うちの若い連中にもあの味を知って欲しいんでねぇ。」



「えぇ♪いいですよ♪じゃあ、行きましょうか?」



大「んっふっふっふ。楽しみですねぇ。」



それから、私は三橋君を連れて興宮署へ戻ったのだった。
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