短編小説

□夢の彼
1ページ/4ページ

俺は夢を見ていた。それは、ここ最近では珍しくあの嫌な夢ではない違う夢を。



「…………ここは………教室?」



夢の中で俺は慣れ親しんだ、いつもの教室にいた。そこでは、仲間達が部活をして遊んでいる最中だった。しかし、どこか違和感を感じる。…………あぁ、やっぱりここにも俺はいない事になっているのか。


俺が見る夢には、いつも俺がいない。話し掛けても誰も返事を返してくれない。……ただ、見ているだけ。そう、何も出来ずにただ、見ているだけしか出来ないんだ。


しかし、誰だろう。沙都子の隣にいる男の子は?……沙都子と同じ様な髪の色。………あっ、もしかして、沙都子の兄貴か?

俺は前に入江先生から沙都子の兄貴がいなくなった事を聞いた。しかし、どんな子だったのかは聞いていない。………そのはずなのに、直ぐにピンと来た。何故なら、沙都子があんなに懐いているからだ。………間違いない。


そんな事を考えながら、俺はみんなが部活をする姿を見ていた。………楽しそうだな。でも、何であんな優しそうな奴がいなくならなきゃならないんだ?………分からないな。何があったのだろうか?


そんな事を思っていると、誰かに見られている感じを受けた。………俺が見える?………誰だ?


俺はその視線を感じる場所を探った。すると、一人と目があった。………沙都子の兄貴だ。



魅「どこ見てんのさ?次は……の番だよ?」



?「あ、あぁ、ごめん魅音。ちょっとトイレに行って来るよ。」



沙都子の兄貴はそう言うともう一度、俺の方を見た。………ついて来いってことか。


俺はそいつが教室を出て行くのを見るとその後を追った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ