ひぐら小説
□夕方の出会い
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時は昭和57年10月。長い残暑も終わり、やっと住ごし易い季節がやってきていた。ここは自然が豊かで、とてものどかな村、雛見沢…の隣町の興宮。そこのど真ん中でこの辺りでは見掛けない一人の少年が…………………………………倒れていた。
ツンツン ツンツン
ツンツン ツ……バシッ!
「……っ!?いってぇ〜!誰だよ!」
突然、何か分からないもので強打され倒れていた少年は跳ね起きた。
?「誰だ〜?は、こっちのセリフですわよ!!あなたはどちら様ですの!?」
?「そうなのです。あなたは誰なのですか?みぃ〜。」
少年の目の前には小学校高学年くらいの少女が立っていた。
「君達は?」
?「質問を質問で返さないで下さいまし!私達から聞いているのですから、あなたから答えて下さること!!」
「あ、あぁ、ごめん。俺は三橋龍一。で、君達は?」
?「知らない人には名前を教えたり、付いて行ってはダメだと学校の先生に言われておりますので。」
「えぇぇぇ!人に聞いといて、それはないよ〜!!」
?「を〜ほっほっほ!自分で答えるのが悪いのですわ。」
少女は高笑いをしながら龍一に向かって言い放った。
?「みぃ…。沙都子は素直じゃないのです。龍一はかわいそかわいそなのです。」
藍色の髪をした少女はそう言うと龍一の頭を撫でた。
「ははは。ありがと。君は?」
?「古手梨花なのです。そして、あっちの素直じゃない子は北条沙都子なのですよ。にぱ〜☆」
「梨花ちゃんっていうのかぁ。良い名前だね。で、あっちの意地悪なのが、沙都子ちゃんなんだね。」
龍一はわざと意地悪の部分だけ強調して言った。
沙「い、意地悪とは失礼ですこと!あなたは初対面相手に一言多いですわよ!」
「梨花ちゃんがそう教えてくれたからそうなのかと(笑)」
龍一はニヤニヤしながら言った。
沙「梨〜花ぁ!」
梨「みぃ〜☆」
二人は戯れ合う様に追いかけっこを始めた。龍一はその姿を見ていて自然と笑顔がこぼれていた。…しばらくすると、不意に梨花が質問してきた。
梨花「龍一は何でこんな所に倒れていたのですか?しかも、どうして、そんな重そうな荷物を背負っていますですか?」
当然の質問だった。誰しも道のど真ん中で倒れている人を見たらそう思うに違いない。