ひぐら小説
□エンジェルモート
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今は、昭和57年11月後半。龍一が雛見沢に引越してきて一ヶ月とちょっとが経っていた。
「……そうですか雇ってもらえませんか。分かりました。すいません、突然お邪魔してしまって。」
龍一はバイトを探す為、興宮にやって来ていた。
「はぁ。以外と雇ってくれるとこ見つからないなぁ。」
龍一が肩を落としトボトボと歩いていた。
キキーーッ!
龍一の隣に黒塗りの高級車が止まった。車の運転席から見慣れた男が顔を覗かせると、龍一に話し掛けてきた。
葛「やはり、龍一さんでしたか。遠くから姿が見えたのでもしやと思ったのですが。」
「……はぁ。葛西さん、こんにちは。」
葛「ん?元気が無いようですね。何かあったんですか?」
龍一と葛西は少し前にある事が切っ掛けで仲良くなった。そのある事とは、その日、龍一は茜に頼まれ接客用のデザートを作る為、園崎家にお邪魔していた。
そこで、魅音から葛西は甘いものが大好物で味にはうるさいと聞き、デザートの試作品を味見してもらったところ、大絶賛をもらったのだ。
それが切っ掛けで、二人は仲が良くなった。
「あは、あはは。……そう見えます?」
葛「何か訳有りの様ですね。ここでは何ですから、そこのレストランに入りましょう。もう昼過ぎですから。」
「あっ、もうこんな時間かぁ。……じゃ、行きましょう。葛西さん。」
二人は近くの「エンジェルモート」と書かれている店に入っていった。