三行小話

□雪月花星雨雲犬猫白黒
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*雪
朝から降り続いた雪はミッドガルには珍しく夜になっても止まなかった。
雪の中二人で歩いてるとザックスの頭に厚く雪が積もり、白髪みたいだ、とクラウドが背伸びして払う。
白髪になるまでクラウドとずっと一緒にいられたらなあ、とザックスは少し哀しそうに笑った。

*月
秋の夜長もそろそろ明けるころ、このことは誰にも知られないよう秘密にしておいてくれとクラウドはザックスに念を押した。
開け放った窓からは下弦の月が白々と覗く。
月は見てるぜとザックスは言うと、クラウドの温かい体を抱き寄せ、額にそっと口づけをした。

*花
淡い桃色の櫻の花びらが暖かい南風とともに一斉に散り出し、隣にいるはずのザックスが一瞬見えなくなった。
花びらが顔に瞼にうなじに胸元に、ざんという風の音とともに息もつげないほど降りかかる。
気づくと二人の唇の間にも櫻の花びらが甘やかにはいりこんでいた。

*星
コスタ・デル・ソルの波打ち際に立ち波に足をひたしながら二人で満天の星を見上げる。
大きな明るい星が流れると、ザックスは口の中で何かブツブツつぶやいた。
不審そうに見上げるクラウドに、今秘密の願い事をしたといってザックスが微笑んだ。

*雨
一転にわかにかき曇り雷鳴が響いたと思ったらバケツの水をぶちまけたような土砂降りになった。
クラウドがあわてて窓を閉めに立つと、部屋に急に強い風が吹き込んで扉が開き、ずぶぬれのザックスが立っていた。
水もしたたるいい男、と開口一番アホな冗談を言うので、その顔に思いっきり勢いよく乾いたタオルを投げつけた。

*雲
クラウドなんてイヤな名前だなあ、と公園のベンチに寄りかかってクラウドは溜め息をついた。
オレは好きだな、その名前、とザックスは言いながら西の空を見上げた。
そこには銀色にふちどられた眩い茜色の雲が低くたなびいていた。

*犬
公園を二人で歩いていたらいきなりクラウドが大きな犬に跳びつかれた。
うわ、と言いながら思わずザックスにしがみつくと、オレが犬ならもっとスゴイことするゾとザックスがクラウドを抱きしめた。
うざい!とクラウドがザックスの脛を蹴る。

*猫
気まぐれ、ワガママ、ツンデレと言ったらクラウドのことだろう。
ザックスは膝の上にクラウドを乗せ、軽く口づけしながら、オマエの前世はぜったい猫だな、と溜め息まじりに言った。
クラウドはザックスの首に手を回すと、じゃあ飼い主はあんただ、と言って耳をかじった。

*白
クラウドがソフトクリームを舐めていると、ザックスにひょいと取り上げられた。
甘いものばかり食ってると背が伸びないぞ、と真面目な顔で言う。
ぎょっとしたような顔のクラウドを楽しそうに見下ろすと、嘘さと言ってザックスは残りのソフトクリームを平らげた。

*黒
ザックスの目の色は本当は黒だったの?とクラウドが聞いた。
ああ、黒い目のオレもいかしてたゼとザックスが片眉を釣り上げた。
調子に乗っっちゃって、とクラウドはキツイ口調とは裏腹の優しいキスを瞼に落とした。

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