ZCの小箱
□D援軍登場!
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カンセルは計画を立てた。
クラウドがいつも同室の連中にガードされてるので非常にやりにくい。
これはクラウドが単独行動をしてる時にさりげなく不意打ちで捕まえるに限る。
「さて、問題はだな。同室の連中があそこまでお前に対して警戒してる今、いつ、どこでクラウドを捕まえるかだ」
カンセルはパソコンを前にして腕組みした。
「堂々巡りじゃねえの。さっきからずっとそれが問題なんだって」
ザックスは勝手知ったるカンセルの部屋でソファーに寝転んだまま天井を見上げて溜め息をついた。
「うん、兵舎内ではまず無理だろう。休日もきっと一緒に行動してるに違いない」
「んじゃ、いつクラウドGETするんだ?」
カンセルはぽん!と軽やかにキーを一つ叩いた。
「クラウドの小班が3日後警備のため街を巡回する。二人一組で巡回だからなんとかなるかもしれねえ」
ザックスはお!といいながら頭を起こして片肘をついた。
「それ、いいな。大体二人一組っつうても仲良く腕組んで歩いてるわけじゃねえし。隙をつけるかもしれない!」
カンセルはうなずいた。
「連中、インカムで互いに連絡取り合ってるから有利だ。オレたちも対抗してアイツらのよりずっと高性能のインカム借りてこようぜ」
「はあ?どっからそんなもん借りるんだ?」
カンセルはにやりとした。
「タークスだ」
ザックスは焦って寝転んでいたソファーからがばりと飛び起きた。
「ま、まさか、レノの野郎からじゃねえだろうな?」
「他に誰がいるんだ?こんな面白い話に一口乗ってくれるヤツが?」
「カンセル!!お前面白がってねえだろうな?ぜ〜〜〜ってえレノにこの話するなよ!!」
「わかってるって」
カンセルは安請け合いした。
ザックスはなんだか不安になってきた。
オレの悲恋を皆で面白がってる?
そう、カンセルは面白くて仕方なかった。
そしてこの面白さをぜひレノとも分かち合いたいなんて気前のいいことを考えていた。
*
それから3日は何事もなく過ぎた。
クラウドはほぼ24時間体勢で「警護」を受けていた。
なにしろ敵はあのソルジャーだ。
いつどこで猛獣のように突進してきてクラウドをかっさらうかわかったもんじゃない。
「万一ザックスさんが無理やりクラウドを拉致したりしたら、神羅ソルジャー規定第三条違反なことは明白だ。オレたちは神羅の上層部に訴えることができる!」
セシルは例のあの冊子を片手で振り回した。
クラウドが風呂に入ってる間に作戦会議だ。
「でもさ、神羅の上層部ってすんげえソルジャーに甘いんだぜ?『一般兵の貞操?そんなもん大事なソルジャーにくれてやれ!』って言うよ、きっと」
チャーリーにしてはうがった意見だ。
「そりゃそうだけどさ、評判にはなるぜ、きっと」
クリスも最近では神羅の内部規定を舐めるように読んでいる。
「社内だけじゃなくて社外でも噂になればなんらかの罰を与えるって」
確かに神羅は世間の評判を結構気にしてる。
特にソルジャー連中は一種のスーパーマンなので、なんとかいい評判をとりたいとやっきになってるところがある。
「なんかザックスさん、必死過ぎてちょっと可哀そうだった」
チャーリーがベッドに寝転ぶとぽつんとそんなことを漏らした。
「チャーリー!」
クリスとセシルが同時に叫んだ。
「だって、なんか目がさ、『クラウド、クラウド、好き好き!!』って感じで」
「だからってレイプしていいってもんじゃねえよ」
クリスがそういうと
「そうさ、クラウドすんげえ怖がってるんだぜ?ザックスさんに同情なんかすることねえよ!」
セシルも同調する。そ、かな〜〜とチャーリーも口をつぐんだ。
ともかく、時間を稼ごう。
ソルジャーはどうせしばらくしたらミッションが入るに違いない。
いっそ長期ミッションでも入ればいい。
そうすればクラウドの操は守られるっていうもんだ。
かちゃりと音がしてもや〜〜っと湿気った空気が流れてきた。
「ごめんね、先に浴びさせてもらって。次どうぞ」
クラウドがシャワー室からでてきた。
いつもなら上半身裸でタオルを肩にかけて出てくるのに、きっちりハイネックのシャツなんか来てる……
クラウド、オレたちにあの体の跡を隠したいんだな……
クラウドの心と体の傷が少しでも早く治るといい。
クリスたちは心からそう思った。
明日の八番街の巡回、用心しよう。
敵は何か仕掛けてくるかもしれない。(2011/6/30)up