ZCの小箱
□D援軍登場!
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もちろんクリスたちも用心怠りなかった。
「いいか、巡回の間クラウドが一人っきりにならないよう細心の注意をするんだぞ」
玄関前でスタンバイしてる時、クリスはクラウドにも念を押した。
「クラウド、万一ザックスさんに声かけられても付いていかないようにしろよ!」
「う、うん……」
「二手に分かれる時、セシルにクラウドの振りをしてもらおう。クラウド、お前、髪の毛きっちりメットに入れろよ!この前ははみ出てたからわかっちゃったんだから」
クラウドは慌ててメットの中に金色の髪を押し込んだ。
「オレたち、セシルに向って『クラウド』って呼びかけるからクラウドは返事しちゃだめだからな」
「あ、うん。でもそこまで用心しなくても……」
クラウドが小さな声でぶつぶつ言ったが無視された。
「ザックスさん、かなり必死だったから気をつけたほうがいい。万一クラウドが拉致されでもされたら大変だ」
「クラウドは今日はセシルになってもらう。『セシル』って声かけられたら返事してくれ」
「あ、ああ、わかった」
「なるべく声出すなよ!もしかしたら俺たちの通信を傍受してる可能性だってあるからな」
「ま、まさか……」
クラウドは目を丸くした。
なんだか大袈裟になってきた。
クリスたちが自分を守ろうとしてくれることはすごく嬉しい。
でもここまでやるなんて……
クラウドとしては、もうそろそろ薬の副作用もなくなってくるはずだから、そこまで用心しなくてもいいのに、という気もあった。
何か誤解されてるようなので、本当のことを話したいのは山々なのだが、真実はあまりに恥ずかしく、内気なクラウドにはとてもじゃないけど話せない。
どうしよう、どうしようと思ってる間にどんどん大事になってきた……
大体今日ザックスが襲ってくるなんてスパイもののドラマの見すぎだろう。
ああ、本当に、ザックスと普通に話しができたら!
クラウドは俯いて小さく溜め息をついた。
*
車の中でスタンバイしてるザックスたちの前をクラウドたちの小班が通って行った。
4人一組で適当に距離を置きながら噴水広場をあちこちチェックしてる。ゴミ箱の中や噴水の中を覗き込んだり、周囲の茂みにおかしな物がないか、結構念入りに点検してる。
「ご苦労だな、と」
火のついてない煙草をくわえたままレノは、呑気そうな口調とは裏腹の油断ない目でじっと巡回を見守っていた。
「お、二手に分かれた」
カンセルがレシーバーを調整して皆にも会話が聞こえるように音量を上げた。
『じゃあ、クラウドとチャーリーはは五番街な。俺とセシル…、は八番街を廻るから』
「ふむ。アレがリーダー的存在のヤツだな」
カンセルが画面上に点滅してる緑の点をじっとみつめた。
「今喋ってるヤツがチカチカしてるからよく見ておけ」
レノが声をかけた。
『じゃ、チャーリー、クラウドよろしくな。五番街は路地が少ないから楽だぜ』
『わかった』
「クラウドは五番街廻るみたいだな」
カンセルが点滅する緑の点をみつめながらつぶやいた。
クラウドたちの小隊は二手に別れ、それぞれのルート方向に向った。
ザックスは画面を見てなかった。
「ザックス!。ほれ、画面見てたか?五番街に行った方デカイのの相方がクラウドだ」
ザックスはだまってスモークガラスの向こうを歩いていく二人の一般兵をじっと見つめていた。
「違う……」
「なんだ?」
「あっちはクラウドじゃない」
「はあ?」
「クラウドの後ろ姿はああじゃない」
ザックスは八番街の方に向っていく二人組の一人を指差した。
「アレがクラウドだ」
レノが面白そうにな〜〜る、とつぶやいた。
「連中も考えたな、と。ここはザックスのケモノとしての勘を信じようぜ、と」
カンセルは肩をすくめた。
「俺にゃ区別つかん。今の会話が釣りなのかどうかも」
ザックスは八番街方向に歩み去る二人の一般兵の方を穴のあくほど見つめた。
「ぜってえあの後ろ姿はクラウドだ」
「んじゃザックス信じてBルート八番街の三丁目に先回りだ!」
カンセルが画面をスクロールした。
八番街三丁目が画面に大写しになる。
「『八番街フルーツ・パラダイス』脇に車止めてくれ」
カンセルがGOサインを出した。