【J−インフルエンザ】
神羅の誇る英雄セフィロスが従卒を募集している、そのニュースを聞いた時のクラウドの興奮はすごかった。
「だって、ザックス、あのセフィロスだよ!!!雑誌に載ってるあの人の身の回りのお世話をするなんて、スゴク光栄だと思わない??」
クラウドがあまりにセフィロスのことで興奮するので、ザックスは少々面白くなかった・・・
ミッションで初めてクラウドと一緒になった時は、その可愛らしさにちょっと衝撃を受けた。こんなむさい男ばかりの神羅兵の中に、紅一点、いや水色一点みたいに目立ってるクラウドは、自分の可愛さに何の自覚もなくひたすらソルジャーを目指すという真面目で一生懸命の性格だ。なんとかオトモダチになりたい、あわよくばもう少し接近したいと思いつつ、この数ヶ月努力してきて、最近やっと一緒に食事に行ったり互いの部屋を行き来する仲になった。たまにさりげなく肩を組んだりしても嫌がられない程度の仲・・・
自分の気持ちが果たして友情なのかかなりアヤシクなってきた今日このごろだ。クラウドの気持ちは、というと・・・正直わからない。微妙なところのような気もするが。
興奮してセフィロスの話をするクラウドを見てると、自分のこの数ヶ月の努力があっさり一瞬で無駄になりそうな変な焦り感も出てくるが、心の中で「トモダチ、トモダチ・・」と呪文のように唱えてにっこり笑いながらクラウドの英雄礼賛話に耳を貸す。
クラウドが従卒希望の書類を出し、ドキドキしながら結果を待ってる頃だった。そのインフルエンザが流行ったのは。
『J−インフルエンザ』・・・噂では宝条ドクター率いる医科研の中でも色々危ない研究をしてるという風聞のある第三ラボから漏れたという噂のウイルス。
なぜかソルジャーだけ罹患する。どうやら魔光照射されたJ細胞の微細遺伝子変異と関係してるとかしてないとか。真実のほどはわからないが、ともかくソルジャーの、それも1stから蔓延していった。
当然、一番最初に罹患し、かつ重症化したのはあの神羅の英雄セフィロスだった・・・
「クラウド・ストライフ二等兵、管理棟205号室バンヴィル大佐のところまで至急出頭してください。」クラウドの携帯に業務連絡が入ったのは土曜日の昼、ザックスと久しぶりに神羅ビル近くの定食屋でランチを食べてる時だった。
「なんだろう?大佐からオレなんかに直接出頭命令なんて・・・」クラウドは少々青ざめてザックスに携帯を見せた。
「従卒審査書類のことかなんかじゃねえの?」もしやクラウドが選ばれたのではないかと不安がザックスの胸によぎった。
「でも至急出頭なんてさ、変だよ。」ともかく行ってくる、と食事も途中で立ち上がったクラウドに、ザックスは何の用事だったかオレにも後で教えてくれ、と声をかけた。心配だ。セフィロスの従卒になったらますますセフィロス熱が燃え上がるんじゃないか。
律儀にまあ走ってるよ・・そこまで急いで行かなくてもいいんじゃないの、メシもちゃんと食わないで・・・クラウドの後ろ姿を見ながらもやもやした不安の念が湧き上がるザックスだった。
「看病ですか???」クラウドは大佐からの命令に驚いた。なんでもJ−インフルエンザなるものがソルジャーの間でひっそり流行っており、優秀かつ有能な一線のソルジャーたちが病に苦しんでいるという・・・
「ちょうど従卒募集の書類が出てたんでね、セフィロスに見せたら君がいいって言うんで申し訳ないけど勝手に決めさせてもらった。」
大佐のデスク前で緊張して直立してたクラウドはセフィロスが直接書類を見て自分を指名したという事実を知って緊張で足が震えそうになった。
「その・・・私は何をしたら良いのでしょうか?」
大佐は一つ咳払いをするとクラウドから少し顔をそむけた。
「悪いがね、セフィロスの住むマンションに君も缶詰になってもらう。まあつきっきりで看病ということだ。」
缶詰で看病??そんなにセフィロスは具合が悪いんだろうか??
「お世話と言ってもそんなに大変じゃない。食事は君の分も含めて毎回差し入れする。セフィロス御用達の店から取り寄せるから高級食材を使ったものばかりだぞ。まあ、今は熱も大分下がってきてるから宝条先生の言うには4〜5日で元に戻るだろう、ということだ。」
元にもどる??どういうことだ??何かがひっかかる・・・大佐はまた顔をそむけた。
「ストライフ君、これはね、極秘事項なんで他言無用ということでな。」大佐は懐からハンカチを取り出すと額の汗を拭いた。
「このウイルスはね、どうも大脳の高次機能を麻痺させるらしいんだ。つまり、その・・・内なる自分が出てしまうというか・・・看病中見たことは一切他言してはいかん。これは上司としての命令だ。」
断る自由は全くない、ということらしい・・・
「一つ質問させていただいてよろしいでしょうか?」クラウドが恐る恐る聞くと、大佐は首を縦にふった。
「他のソルジャーも感染してるのですか?」
「ああ、それぞれに合わせた対応をしてる。」
つまり自分はセフィロス対応ということ??何をもってセフィロスが自分を選んだのかの説明もないまま、身の回りのものだけまとめて早速セフィロスの元に行かされることになった。
***
セフィロスの居住してるスペースは、神羅のソルジャー棟でも最上階であり、かつワンフロアすべて私室として使っている。
エレベーターも専用のものでないとこの階には行くことができない。
クラウドは第三ラボの医師と一緒にIDカードを差し入れ、エレベーターに乗り込んだ。エレベーターに乗るにもIDカードが必要とは・・・
ここに来る前に一応ザックスにはセフィロスのところにしばらく缶詰になるらしいとだけ伝えておいた。さすがにそれ以上のことは極秘ということでメールできなかった。ザックスからは焦ったようなメールが何通も来たが、ここに来る前に携帯も取り上げられてしまったので、それ以上のことはわからない。
シュッという静かなエア音とともにエレベーターの扉が開き、ソルジャー棟最上階に着いた。
廊下には厚い絨毯が敷き詰められており、足音を吸収する。はめ殺しの窓からはミッドガルの街がミニチュアのように見える。
「君のすることは、セフィロスと一緒に食事をしたり、日常生活を共に過ごすことだ。彼に逆らわないようにね。セフィロスが寝ている時間は自由にしてていい。ただし、部屋からは出るのは許されてない。ま、彼の部屋には本もDVDも沢山あるから退屈はしないと思うけどね。そういうものは自由に使っていいそうだ。」
なんとなく釈然としない。一体セフィロスはどういう状態なんだろうか?
セフィロスの部屋の前に来ると、医師はインターホンを鳴らし、
「クラウド・ストライフを連れてきました。」と器械に口を近づけて話すとああ、とかうんとか言う声がかすかにインターホンから聞こえ、ドアが内側から開いた。
クラウドはセフィロスその人をこんなに近くで見たのは初めてだった。
輝くシルクのような銀髪を流しっぱなしにして、バスローブを着た英雄は、この世のものと思えないほど美しかった。
セフィロスは色々なメディアに登場しており、女性誌のグラビアを飾るほどの端正な美貌は一部にかなりのコアなファンもいるという話だが、正直クラウドはこれほどの美しさとは想像もしていなかった。
天人がいるならこのような人間なのかもしれない。完璧な美貌。
「ああ、彼だね。ありがとう。」セフィロスはクラウドに向かってうっすら笑うと医師に手を振り、クラウドの手をひいて部屋にひっぱりこんだ。
「5日経ったら迎えに来るからね。」医師は扉が閉まる直前にそう一言叫んだ。
不安でいっぱいのクラウドを置いて、医師はあっけなく行ってしまった。
説明を求めるヒマもなかった・・・
***
「初めまして、クラウド・ストライフ二等兵です。しばらくこちらでお世話をさせていただきます。」クラウドが敬礼しながら簡単に自己紹介すると、セフィロスは笑った。英雄も笑うんだ・・・クラウドはしばし見とれた。
「いいよ、固い挨拶は。君は本当に可愛い。金髪がとても綺麗だ。」セフィロスの手がクラウドの髪に伸びる。
セフィロスはソファに座ると隣に座るようクラウドを促した。
「すごく淋しくてね。君が来るのを待っていた。」セフィロスはクラウドの隣に座ると髪を撫でた。
「あの・・私は・・・なんで選ばれたのでしょうか?」不安に思ったクラウドが聞くと、セフィロスは淡い翡翠色の目を見開いた。
「ああ、写真を見て決めた。一目見た途端この子だって思ったんだ。ほっそりした体型、綺麗な顔立ち、そして金髪。こういうペットがほしかったんだ、昔から。」
「ペ・ペットですか???」
「小さいころにね、ペットが欲しかったんだけど、皆に反対されて。それからずっと欲しくて欲しくて。」
クラウドは呆然とした・・・つまりオレは五日間セフィロスのペットにならないといけないわけだ・・・
大佐が目をそらしたわけがわかった・・・セフィロスの内なる欲求は何かを可愛がりたいということなんだろうか??ホント、それだけ??
「私はペットを可愛がってみたかったんだよ。君はどうされるのが嬉しい?喉を撫でるのと背中を撫でるのはどっちが好きかな?」
セフィロスはクラウドを持ち上げると膝に乗せた。さすが神羅の英雄だけあって、病気でも軽々とクラウドを抱き上げる。
セフィロスはポケットから首輪を取り出すとクラウドの首にかしゃりとはめた。
「これで君は私のものだ。」ふと笑った顔は美しさを通り越して恐ろしかった・・・神様、オレはどうなるんでしょうか??
第一日目にしてこの衝撃。クラウドは書類を出したことを心から後悔した。
*****
ザックスは心配のあまり気も狂わんばかりだった。クラウドがセフィロスのところに連れて行かれてもう三日が過ぎ、四日めに入ろうとしている。クラウドからは梨のつぶてだ。
風の噂で、ソルジャー1stに変な風邪が流行ってて、一般兵が看護要員として狩りだされていると聞いた。誰かに聞いてみるかと迷っていた時、たまたま定食屋で一般兵時代に親しかったレオンと出くわした。
ザックスがこっそり聞きだしたところでは、レオンは1stのミシェルのところに看病に行かされてたそうだ。ミシェルはJ−インフルエンザになってから、変な創作欲にとりつかれ、一日中ピアノを弾きながら作曲してたそうだ。三日間朝から晩まで大音量のクラッシックを聞かされて衰弱したよ〜と笑って話していた。
「でもオレはまだマシなほうだよ。一日中わけのわからない創作料理食わされてたヤツもいるし、徹夜で詩の朗読につきあわされてたヤツもいるんだぜ。」
どうもこのJ−インフルエンザ、回復期に内なる欲求が我慢できずに表に出るらしい。
ザックスはレオンにセフィロスのことを聞いてみた。
「セフィロス??なんだか重症でまだ正気になってないって噂だけどね。どうなったかは緘口令が敷かれてるからわからないな。セフィロスのところに連れて行かれるなんてゾッとするよ。誰が看病に当たってるやら。」レオンは他人事だよな〜と笑ったが、ザックスは笑えなかった。
もしや、もしや何かとんでもない事態になってたら・・・命に危険はないんだろうか??
いてもたってもいられなくなった ザックスはレオンから第三ラボの医師が定期チェックに行くらしいよ、という情報を得て早速行動に起こすことにした。
*****
セフィロスは別にクラウドに危害を加えようとはしなかった。「可愛がる」という行動は普通危害を加えるものではないはずだから。
ほとんど半裸のまま首輪をしてセフィロスの膝に頭をもたせかけ髪を撫でられていると、プライドって何?という気分になってくる。
セフィロスはクラウドを触るのがとても好きで、頬やうなじに始終口づけをしてくる。
寝る時も一緒だ。だからと言って何かしかけてくるわけでもなく、ただ抱きしめて眠るだけ。セフィロスはとてもいい匂いがして、肌は白く陶器のよう。眠ると長い銀色の睫毛が顔に影を作る。牢獄のようなセフィロスの両手の中で体を丸めて眠る。
まさにペット状態。
クラウドも悲しいことにそんな状態にだんだん慣れてきてしまった。
まあ、自分のプライドさえ犠牲にすればこんな状態が5日続くくらいなら我慢できそうだ、そう考えていた頃だった。
ちょっとした転機が訪れた。それは4日目に入ろうとする朝のことだ。
遅い朝食を一緒にとった後、例によってソファで膝に乗せたクラウドの髪を撫でていたセフィロスが、ふとクラウドの目を覗き込むと、両頬を手で挟みクラウドの唇に自分の唇を重ねた。
またいつもの可愛がり発作だろうと高をくくっていたクラウドは、キスが深くなり、舌が侵入してきたのにぎょっとした。
間近で見るセフィロスは神々しいまでに美しく、まさに気紛れに人間の小姓を愛する天上の神。
歯の間から侵入してきた舌は軽くクラウドの舌をつつくと激しく吸い上げだした。
こんなことは初めてだ。貪るようなキスに頭がクラクラしてきた上、三日間ですっかりペット根性が身についてしまったクラウドには抵抗する気すら起きなかった。 こんなキスは・・・実は初めて。キス自体ほとんどしたことがなく、母親との軽いキス以外では、酔っ払ったザックスに一度キスされたことがあるだけだ。
されるがままソファに組み敷かれ、気づいたらセフィロスは自分の真上。なんだか頭がぼんやりしてきた。
体の芯も変に熱い・・・
「クラウド・・・」耳元で囁く声は麻薬を含んだように妖しい。
剣を持つ手とは信じられないような形の良い長い指がクラウドの胸を彷徨う。クラウドも色が白いが、英雄も負けずに色が白いことがこの三日でわかった。自分の薄桃色の小さい乳首をセフィロスの白い手がなぞる。
「あ・・・」思わず喉を反らし声をあげる。
たぶん俄か仕立てといえ身についてしまったペット根性、ご主人様が望むことに応えようと体まで反応する。
オソロシイものだ、首輪の威力は。
「可愛い・・・」
セフィロスは軽い上着を脱ぎ捨てるとクラウドを両手で固く抱きしめた。
銀色の髪がさらりと顔の上に落ちる。髪はかぐわしく、ふわりと麝香の匂いが漂ってくるようだ。
密着する肌はすべらかで温かい。
唇が耳朶を軽く噛むと体が自然とびくんと跳ねる。
長い銀髪が生き物のように胸から脇にからんでくる。
喉元から胸にかけて唇が這うとさすがにこの後に来るものが予想され、首をイヤイヤするように軽く振る。
首輪が喉の皮膚をこする音がしてああ、オレはペットなんだ、と思い知る。
屈服し、征服されても仕方ない・・・ご主人が何を望んでいるかわかってる・・・身を投げ出し、すべてを捧げ、お望みの通りに。
どこに触れられても甘く痺れたような快感が襲ってくる。なんだかオレ、おかしい・・・
唇はクラウドの形良い臍をくすぐるように舐める。思わず両手で銀の髪をまさぐる。
髪が、髪が指に絡み付いてくる。
恍惚としてくるとともになぜかふと黒い固い髪を思い出した。
その時だった。誰も入って来ないはずの玄関扉のロックがカシっと外れる音がした。
すでに濡れている瞳をそちらに向ける。
自分の上に乗る神の体がぎしりと起き上がり、扉の方を向く。
「やめろ!!!」聞き知った声だ。
あれ?ザックス・・・なんでここにいるんだろう??
*****
ザックスが第三ラボに突撃を仕掛けたのはレオンから話を聞いてすぐだった。
セフィロスがクラウドに何をするかわからない不安に胸がざわめく。
セフィロス担当の医師を探し出すと、蒼い目にほとんど殺意すらにじませてクラウドのところに連れて行くよう脅す。
医師は、どうせもう明日には解放されますよ、そろそろ正気に戻るころだから。と言うが、今現在何が起こってるかわかったもんじゃない。正気だって油断できない。
結局ザックスは担当医を拉致するという、強硬手段に出た。
だから大丈夫です、セフィロスさんはクラウドさんに危害を加えたりしませんってば、と医師は半泣き状態、ザックスの腕にがっしとつかまれてソルジャー棟へと向かう。
IDカードを使ってエレベーターに乗り込み、期間限定合鍵を使ってセフィロスの部屋で見たものは・・・
しどけない姿で絡み合う二人の姿だった。
その上クラウドをきたら、満更でもない顔をして目なんか潤ませてるじゃないか・・・
裸の上半身に首輪をつけたその姿はひどく扇情的で、ザックスは鼻血を吹くんじゃないかと一瞬思った。
「やめろ!!セフィロス!!何やってるんだ!」
つかつかと二人に近づくと、クラウドの首輪から妙な波動を感じる。
「まさか・・・」ザックスはセフィロスを睨みつけたままクラウドの首輪を外すと・・・
そこには「服従」の小マテリアが・・・
「セフィロス!あんた正気に戻ってるんじゃないか??」
「いきなり人の部屋に入ってきてプライベートを邪魔するのはどういうわけだ、ザックス・フェア。」
ザックスは絶句した。ここで何か言わないと・・・英雄の柳眉が逆立ってる・・・
「クラウドは・・・クラウドは・・・オレの恋人だ!!」
あああ、言っちゃったよ・・・クラウドがポカンとオレを見てる・・・引っ込みがつかない。
「他人の恋人を横取りするようなさもしい真似をあんたがするわけない!」
もうこうなったら開き直りだ。
セフィロスは腕の中のクラウドにそうなのか?アイツはオマエの恋人なのか?と聞いている。
困ったのはクラウドだ。違うといえばセフィロスの魔手にかかるし、そうだと言えばザックスとの関係が微妙なものになる。しばらく黙っていたが、結局問題を先送りするという選択をしたクラウドはうなずいた。
「それならば仕方ない。今朝は頭もはっきりしてきたのでこの子を頂こうかと思ったのだが。お前のお手つきとはな・・・」
ほら、というように、クラウドをザックスに手渡すと、
「私は諦めたわけではないからな。ザックス。クラウド、三日間ペットご苦労。楽しかった。」
セフィロスはぽんぽんとクラウドの頭を叩くと手の平にキスをした。
意外にあっけなくクラウドを取り返したザックスは拍子抜けしたものの、諦めてない、というセフィロス最後の言葉に背筋が少々冷たくなった。
「ザックス、助けに来てくれてありがとう。」首輪も外れ、クラウドもいつも通りのクラウドに戻ったようだ。
「ああ、さっきのオレの言葉、気にするなよ。」ザックスが照れたように頬を掻いて言うと、クラウドが俯いて何か言ったようだがザックスにはよく聞こえなかった。
ともあれ、クラウドは自分の兵舎に戻り、いつもの日常に戻ったと思われたが・・・・
それから数日後、またクラウドの携帯に大佐からの「緊急連絡」が入った。
出頭して命じられたことは・・・
またもやソルジャーの看病。
「ザックス・フェア、ソルジャー2ndのところに行くように。」という命令。
「セフィロスのところに乗り込んだそうだな、アイツ。J−インフルエンザがうつったようだ・・」
「悪いがまたつきっきりで看病してやってくれ。看病はオマエ指名だ。」大佐はまたもや汗をふいた。
拒否権はもちろんない。
クラウドは身の回りのものをもってザックスの住むマンションの一室へと向かった。
がちゃりとドアを開けると、ザックスが待っていた。
「クラウド・・・会いたかった・・・」
熱い抱擁と深い口づけ・・・・
ザックスの一番の願いがわかって、三日間が内心楽しみなクラウドだったが、これは上層部にもザックスにも内緒の話だ。
(2009/2/23up)