ログ話

□ねぇ、
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暗くて少しジメジメしてる炭鉱の中に鉄の音が響く。腕の力を強め、腕の中のものが落ちないように気を付ける。
「………」
足早に歩く私を見て、炭鉱で働く人達が声をかけてくる。
「お、今日も来たのかい」
「毎日飽きないねぇ」
『もう日課みたいなものですから』
お疲れ様です。と軽く笑って返す。
こんな地下で仕事をしてるのに、皆どこか楽しそうだ。
「……あ、」
もう慣れた道を辿り、地下深くへと降りると、見慣れた背中。
『…ヒョウタさーん』
赤いヘルメットを被って、一心不乱に鉄を振るヒョウタさんはどうやら私には気付いていないようだ。
『…あのー』
仕事熱心なのは良い事だけど、気付かれないのはちょっと寂しい。か、も。
『あの、すいません。ヒョウタさん?』
熱心なのは良いよ、怠けてるよりはよっぽど良いよ。だけどさ、熱心過ぎるのもどうかな!?
『えぇっと、ヒョウタさん。お弁当持ってきたんですけ「カーン」……え』
ちょっと待て。
今のカーンは何だ。私の言葉遮ったよね。
いや、今のヒョウタさんは周りの音が聞こえてないんだよね……………
『ヒョウタさん、お弁「ガンッ」……うわぁぁぁぁぁん!!!』








「あ、え?」
『もうお弁当持ってこないんだからぁあ!』
「ちょ、ちょっと待ってよ!」

「…またやってるよあの人達」








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まさかのヒョウタ。
あの人は可愛い。
2009年、一発目。


090101


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