「あの、すいません」
昼過ぎ。
夕飯に使う材料が無い事に気付き、バック片手に歩いていると後ろから声をかけられた。
「道をお聞きしたいんですが。」
反射的に振り向いた私は、目の前にある姿に息を飲んだ。
薄い緑の髪と紅い瞳。
私よりも背が高く、すらりとした手足。
長く伸びた睫毛はその白い肌に影を落としていた。
「あの…大丈夫ですか?」
一瞬、女の子だと思ったが、その唇から出る声は低く男だということを告げていた。
『…あ、あぁ。大丈夫です』
こんな美人さんを近くで見たのは初めてだ。
今だにドキドキと五月蠅い心臓に手をあてた。
「それは良かった。いきなり固まってしまったので」
あぁぁぁ…
そんな笑顔で言われたら心臓がもたないじゃないですか。
「…あれ?なんか顔色悪くないですか?」
そう言って私の額に手を乗せた彼を見てから、私の意識はなくなった。
美人な彼の爽やか笑顔
(あ、気付きましたか)
(…え)
(突然倒れてしまったので驚きました。あ、僕、キルリアっていいます。よろしくお願いします。)
(はぁ、よろしく……ってキルリアぁあ!?)