novel(female)

□白百合女学園高等部〜メリーゴーランドでつかまえて〜
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マヌケだ。
巨大ネズミやら水兵アヒルやらがいる日本で一番人気のあるアミューズメントパークの真ん前で、やたらデカい男が二人、ぼーっと突っ立っている。

「おい大地」
「はい」
「何時だ、今」
「えーっと、10時05分っす」

苦虫を噛み潰したような表情で、榛名が吐き捨てるように呟いた。

「自分たちで、場所も時間も決めたくせに、遅刻かよ!」
「えーっと、でも、榛名さん、俺たちが来た電車に乗ってなかったら、次は、もう遅刻ですからー。仕方ないっす。それに兄ちゃんに言われたんすけど、でーとに女の娘が遅れても、絶対怒ったらダメだってー」
「怒ってねーっつの! 頭に来てるだけ!」
「どう違うんですか―」

黙れ、と大地の頭をはたいた時。
ちゃらららんらららーんらーん、と大地の携帯が鳴った。

「………何お前、春のセンバツ入場曲、着うたにしてんの」
「ハイ! あ、市原さんからだ」

呟くと、大地は携帯を耳に当てた。

「もしもし? 市原さん、今どこですか?」
「え!? な、なんでっ」
「………はぁ、はい」
「じゃあ、すぐに! すぐに行きます!」
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