□光の道
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バッシャン
水の中に吸い込まれ、呼吸ができず苦しい。
薄れゆく意識の中で、誰かが飛び込んで来たのを、捕らえた気がする。
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暗闇に灯るロウソクは、不気味な青い光で、その存在を誇示していた。
四方のロウソクに囲まれ、真ん中には、同じ様に青白く光る魔方陣があり、その中には薄汚れた汚ならしいマントを目深く被った人物がいた。
「遂に…………遂に!!!!!あの忌まわしいヤツを!!!!ヤったぞ!!!!あはははははははははははははははははははははは」
狂った様な笑い声だけが、洞窟の中に反響していた。
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白い部屋
真っ白い所
死んでも夢は見るモノなのね
《生きたいか?》
『え?』
夢でこんなにはっきりと声を聞いたのは初めてだ。
《生きたいかと聞いている》
『……………別に』
生きてしたい事なんてない。
恋は一人で出来ないし。
家庭は…今さら遅すぎる。
《…願いを一つだけ、叶えてやる。と言ってもか?》
『願い?』
《ああ、だからどうか、――――――》
願い
願い
願い
『――――――――』
《――――――――――――――――》
最後は、何て言った?
何て言われた?
思い出せない。
まあ、所詮は夢。
そろそろ眠い。
私はゆっくりと睡魔に体を預けた。
これが、私「浅利 雛季」としての、最後の記憶だ。