□光の道
3ページ/3ページ





バッシャン










水の中に吸い込まれ、呼吸ができず苦しい。












薄れゆく意識の中で、誰かが飛び込んで来たのを、捕らえた気がする。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





暗闇に灯るロウソクは、不気味な青い光で、その存在を誇示していた。




四方のロウソクに囲まれ、真ん中には、同じ様に青白く光る魔方陣があり、その中には薄汚れた汚ならしいマントを目深く被った人物がいた。



「遂に…………遂に!!!!!あの忌まわしいヤツを!!!!ヤったぞ!!!!あはははははははははははははははははははははは」






狂った様な笑い声だけが、洞窟の中に反響していた。












◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇















白い部屋













真っ白い所














死んでも夢は見るモノなのね







《生きたいか?》




『え?』




夢でこんなにはっきりと声を聞いたのは初めてだ。




《生きたいかと聞いている》



『……………別に』




生きてしたい事なんてない。

恋は一人で出来ないし。

家庭は…今さら遅すぎる。


《…願いを一つだけ、叶えてやる。と言ってもか?》



『願い?』



《ああ、だからどうか、――――――》





願い


願い


願い




『――――――――』



《――――――――――――――――》










最後は、何て言った?

何て言われた?



思い出せない。

まあ、所詮は夢。


そろそろ眠い。








私はゆっくりと睡魔に体を預けた。





これが、私「浅利 雛季」としての、最後の記憶だ。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ