企画
□結局何も変わらない。
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今日も一日静かだった…と言えたらどんなによかっただろう。
昨日の晩は、皆に配るためのチョコレートを徹夜して作った。正直、配り回っている間も眠く欠伸を堪えるのに苦労した。
疲れた…でも皆が喜んでくれたし。よかった。
しかし、配り終えた今、もう夜の8時30分を回ってしまった。
今日はゆっくり寝ようと思ったのに…もうこんな時間だ…
急いで部屋の前まで戻った真九郎は溜め息をつき、少しの喜びと、かなりの疲れを感じた。
そしてドアを開け、部屋の中に目をやる。
何で居るんだよ…
そこには、何時ものように真九郎の部屋でテレビを見ながらくつろぐ環と闇絵が居た。
こちらに気が付き、
真九郎くーん!
と環が手を振る。
お帰り、少年。
と闇絵が声をかける。
これではいつもと何も変わらないではないか。
と真九郎はもう一度、大きく溜め息を吐く。
あーあ、食費が…
環が、
真九郎くーん、ビールぅ。
と言えば、
はいはい。
と冷蔵庫から買い置きを取り出す。
闇絵が、
灰皿は何処かな?
と聞けば、
ここですよ。
はい、と手渡す。
やはりいつも通りだ。
でもやっぱり賑やかなのが一番いいなぁ、と環の皿にに本日5杯目のおでんをよそいながら思う紅真九郎だった。
でも二人とももうちょっと手がかからなかったらなぁ、
真九郎くん?聞いてる?しーんーくーろーーくーーん。
「…わかった、何かやらしいこと考えてたんでしょ?」
「な!?んなわけないでしょうが!」
驚いた真九郎が急いで返す。
それを見て環が面白そうに返す。
「あはは、焦ってるぅぅ!図星なんだ!!」
こんのエロオヤジ大学生!そんなわけないだろうが。
「少年。そんなやつほっといて私にももう一杯くれ。」
と闇絵が横槍を入れる。
はいはい。と真九郎が闇絵に皿を受けとる。
「そんなやつって何よ!」
環が怒ったように返す。
「事実だ。」
と闇絵が鼻で笑う。
真九郎くーん!と環に泣き着かれながら闇絵に皿を渡す。
そしてそれを闇絵は無言で受け取り食べ始める。
真九郎くぅぅぅん!!
ぐえっ環さ…潰れる…
少年を潰すなよ。晩御飯が食べられなくなる。
酷、晩御飯って。
やっぱり二人とももうちょっと手がかからなかったらなぁ、と改めて思う紅真九郎だった。