『 』の物語の終着点
□最後のワガママ
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――咲夜も不老不死になってみない?そうすればずっと一緒にいられるよ。
お嬢様の愛らしい声が夜の竹林に吸い込まれていく。どこかおどけたように、それでいてどこか不安そうな……そんな声色の提案。
――私は一生死ぬ人間ですよ。
主の期待に全力で答えるのが従者の務め。しかし私は彼女の提案を放棄した。
人と妖怪はその寿命の差故に必ず『一方の死』という逃れられぬ結末が待っている。
それはとても残酷で、どれだけ愛していても、どれだけそばに居たいと願っても、全てを無に還す抗うことを許さず、お嬢様の能力でも変えることの出来ない絶対的な『運命』。
だからこそ私は人であり続けると誓った。
――大丈夫、生きている間は一緒にいますから。
それは十六夜咲夜が人間としてレミリア・スカーレットを愛する誓いでもあった。
人間として貴女に出会ったからには人間として貴女を愛し続けたいのです。
それが私のワガママです、お嬢様――