Clapping
□Crimson Crimson Crimson
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「ヒソカ、何持てるね?」
集合場所に一番乗りだったフェイタンが甘い匂いに誘われて、ヒソカに近づいた。
ヒソカの手には白い箱。
匂いはそこから漂っている。
「ヒミツ♠
みんながそろってからのお楽しみだよ♥」
クツクツと笑い、ヒソカは窓辺へと足を向けた。
窓枠に箱を置いて、自分は腰かけて、トランプを取り出し、いじり始めた。
フェイタンは箱の中身を気にしながら、肩をすくめた。
次に気付いたのはウボォーギンだった。
「ん?なんだ、この甘い匂いは?」
匂いに誘われて視線を動かすと、そこには遅刻と無断欠勤の常習犯がトランプをいじっていた。
「おっ!ヒソカ!今日はちゃんと来たんだな!」
「いい心がけだ!」と大口を開けて笑うウボォーギンにヒソカは満更でもない様子。
むしろ、厄介そうな顔をしている。
ウボォーギンはそれには気付かず、白い箱に目が行った。
「しかも、何か手土産持ってよぉ!」
甘い匂いをさせているのが、ヒソカの隣にある箱だと気付くとさらに上機嫌になっていくウボォーギン。
「ウボォー、あんたちょっとうるさい…」
マチが眉を寄せて、ウボォーギンを見上げた。
「すまん、すまん…」
照れ臭そうに頭を掻きながら、ウボォーギンは声をひそめた。
やがて、今日のメンバー、クロロ、ウボォーギン、マチ、シャルナーク、フェイタンがそろった。
「今夜はユケリート美術館に保管されている世界最大のルビー"不死鳥の涙"を盗る。
このほうせ」
「団長!」
クロロの言葉を遮り、ウボォーギンが声を張り上げた。
そのボリュームにみんな耳を塞ぐ。
「な、なんだ?ウボォー」
クロロも痛そうな顔で見るので、ウボォーギンはさっきと同じように頭を掻いた。
「盗みに行く前に、ヒソカが持ってきた物を食べたくてよぉ…」
そんなこととクロロとヒソカ以外の団員から睨まれ、ウボォーギンは肩を縮めた。
「ほう?ヒソカ、何を持ってきた?」
クロロは珍しいものを見る目をして、ヒソカに訊いた。
「ケーキだよ♣オトモダチが紹介してくれたお店でね♦
美味しかったから買ってきたんだ♠」
ボクから言いたかったのに…♣
つまらなさそうな顔で窓枠から下りて、物をクロロに見せる。
みんなも横から箱の中を覗く。
「ほお〜!うまそうだな!」
ウボォーギンは感嘆の声を上げ、
「あんた、今日は熱でもあるのかい?」
マチはヒソカの体調を疑い、
「毒とか入ってそう…」
「ヒソカ、毒味するね」
シャルナークの感想にフェイタンが乗っかり、
「ひどいなあ♥
そんなことするわけないだろ?」
それにヒソカが反論して、
「とりあえず、みんな一旦離れろ」
クロロの言葉でみんながケーキから離れた。
「お前の友達にしては趣味のいいしてるな」
小綺麗なケーキを見つめるクロロに「そうだろ?」とヒソカは自慢気だ。
「生洋菓子か…。早めに食べないとまずいな…」
視線を箱のシールからマチに移しながら、クロロは言った。
「じゃあ、フェイを借りるよ」
視線だけで皿とフォークの調達を頼まれたマチの申し出にクロロは「ああ」と返した。
「なぜワタシね?」
不満げなフェイタンにマチは団員をグルリと見渡して言った。
「この中じゃ、あんたが一番目立たないだろ?」
フェイタンもマチ同様グルリとみんなを見て、ため息を吐いた。
確かに、自分は一番小さくて、黒い服装で闇に紛れられる。
「わかたよ…」
渋々、フェイタンはマチに続いて、夜の闇に紛れた。
しばらくして2人は戻ってきた。
ケーキとお茶を食べた。
反応、感想ともに最高。
マチはパクノダやシズクにも教えるそうだ。
ちゃんと、宣伝しておいたよナマエ♣
この前の約束(?)を果たしたと、ヒソカはニンマリ笑った。